天の間
□one day afternoon
5ページ/8ページ
心配した僕が馬鹿だった。
折角パンドラの為を想って看病しようとしたのに。
走って、走ってそれから僕は息を切らせて立ち止まる。
呼吸困難になり、屈んで治るのを待った。
“大きなお世話ですよ”
“はっきり言って迷惑なんです”
パンドラの言葉がこだます。
冷たく、僕には痛い一言だった。
鋭利なその金属は僕の心に刺さり、刃諸とも食い込み痛みと共に血がどくどくと溢れる。
いや、流れ出ているのは血ではない。僕の涙だ…。
あんな言葉を言ってほしくはなかった。
パンドラに嫌われた気がした。
終わりだ、とも。
無意識下に思ってしまったからこそ、僕は怒ってしまった。
信じられなかったから。
僕は伏せていた気持ちと一緒な顔を上げる。
パンドラは嘘をつくのが上手い。
しれっとした顔で平気で人を騙す姿を見て来た。
だから信じられるのはパンドラの言葉じゃない、熱を持った額、上気した顔だ。
そう考えると、さっきまで塞ぎ込んでいた自分が馬鹿馬鹿しいとさえ思えてくる。
パンドラは、なんだかんだ言って僕に甘いってことを僕は知っているから。
僕は来た道を引き返す。
もう、邪魔なんて言わせない。