天の間
□one day afternoon
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別に悪い事をしてるわけではないというのに−−変な気分になる。
でも、こうしなきゃ熱は下がらない。
パンドラは忙しい身だから、早くよくならなきゃいけない。
僕の思いに関わらず。
「よし」
僕は濡れたタオルを握り、掛け布団をめくる。
めくろうとして、パンドラが少し声を出した。
突然の出来事に恥ずかしくなり、避けようとする。
混乱していた為か、バランスを崩し倒れ込む。
倒れそうになった所を辛うじてパンドラが抱き留めた。
「おはようございます、シヴァ。積極的ですね、何か心境の変化でもあったのですか?」
薄く笑みを浮かべてパンドラが言った。
矢張り恥ずかしい。
パンドラはシヴァの腰を抱き留め、首筋に軽くキスをする。
ぞわっと肌を伝う感覚に身を震わせる。
次にパンドラが耳元で囁いたのは、僕の意に全く反していた。
「どうしてここにいるんです?」
僕は戸惑いを隠せずにパンドラの腕の中で言う。
「どうして…って、パンドラが風邪ひいたって言うから看病しに来たんだよ」
パンドラはいつもの通りにっこり笑う、だが目は決して笑っていない。
「帰って下さい」
そう、冷たく言い放つ。
「なんで?」
と言う前にパンドラは抱いていた腕を解き、軽く僕の身体を後ろに押した。
「なんのつもりか知りませんが、邪魔です。過度なお節介は返って煩わしいだけです。私は迷惑だって言ってるんですよ。−−何をしてるんです?早く帰って下さい」
その言葉に僕は逆上してしまう。
パンドラの為をもってしたことが煩わしい?迷惑??
訳が分からない。
ただ、ムカムカする。
「分かった」
僕は数歩後ろに下がる。
そして静かに答える。
「もういいよ」
ぴくりとその言葉に反応し、こちらを見る。
「もう知らない」
再び数歩後ろに下がる。
「だから!」
僕は視線を上げ、パンドラを見る。
「風邪こじらせて肺炎になって死ねばいいんだ!!!!」
僕は担架をきってパンドラの部屋を飛び出した。