天の間

□あなただけに
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いざ精霊祭に行くと、矢張り人込みが凄いとしか言いようがない。

離れないようにとシヴァに浴衣の裾を握らせる。

金魚すくいにわなげにりんごあめ。そしてクレープにお好み焼きに焼きそば。
不覚にも美味しいと感じてしまった。

会場に来て少したつと、シヴァがやたらそわそわしだす。辺りをきょろきょろと見回したり。

私は一気にテンションが下がる。
シヴァはユダを探しているのですから。

ユダにはシンがいるというのに、救われない人ですね。

ですがシンの存在は、シヴァにとって邪魔でしか無いのでしょう。

例え、ユダが私を窮地から救ってくれた恩人と言わざるを得ない存在だとしても気に食わないものは気に食わないんです!
きっとそれは、シヴァがユダの事を好きだからなのでしょう。それは分かっているんです。

私はシヴァだけを見つめているのに、シヴァはこれっぽっちも気付かないものだから私はシヴァに意地悪をしたくなるのです。
私を気にかけるようにと。


精霊祭ではユダと遭遇することはありませんでした。
シヴァはとても残念に思っていたようですが、私にはとても嬉しい。

いつかは気付けとは言いません。それでも私はいつもあなただけなのです。



end
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