天の間

□長春花
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『長春花』





それは夏のある日のこと。

夏とは言っても天界は1年中過ごし易い気候であるため、日差しが強いわけでも気温が高いわけでもない。

一見季節の感覚はないようだが、それでも僅かながら空気の匂いが変わったり、咲く花の種類が変わったりするのだ。


「春ですねぇ…」

「夏だろ!!?」


まるで縁側のおばあちゃんのような呟きを漏らすパンドラに、シヴァが突っ込みを入れる。


「なんでもいーんですよ!!シヴァのくせにそんな細かいこと突っ込むんじゃありません!」

「…横暴ー。ていうか季節は細かくないし…」

「とーにーかーく!!ピクニック日和だってことですよ」


そう。

今2人はピクニックに来ていたのだ。

場所は湖のほとりの大きな木の下。

暑くはないが眩しい日差しも大樹が淡い木洩れ日にしてくれていて、その木陰はひどく心地良い場所だった。


「…大体、何が悲しくてパンドラと2人でピクニックなんて来ないといけないんだよ…」



げんなりとするシヴァ。

そんなシヴァの様子が楽しくて仕様がないというようにパンドラは喜々として話しかける。
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