天の間
□TRIANGLE
1ページ/9ページ
『トライアングル』
SIDE;A
「ったく、なんでこうもアイツって口煩いんだ?頭にくるなぁ」
ある麗らかな昼下がり、シヴァは往来をぶつぶつ言いながらあるいていた。
そこは神殿の中であり、他の上級天使などもいる所である。
「おや?シヴァ殿ではないですか」
シヴァは声をかけられ、ふと足を止める。
「カサンドラ?」
名を呼ぶとにこ、とカサンドラは笑う。
そしてゆったりと歩いてシヴァに近づいてくる。
「おやおや、何故そのような浮かない顔をしているんです?貴方にそのような顔は似合いませんよ」
「そう、かな?」
シヴァは無理矢理笑顔を作る。
だが、カサンドラは顔をしかめる。
「かといって無理に笑う必要なんかないですよ。気を遣われるというのも悲しいものです」
一応自分を励ましているのだな、とシヴァは己の中で解釈する。
ぽんと胸を撫で下ろし、ほっとしたような表情をする。
「ありがとう」
シヴァは心からそう思った。
確かに胸のうちはもやもやして、シヴァ自身も“笑う”余裕がなかった。
吐き出してしまえばきっと楽なんだろうって思う。
だけど、できないからこそ苦しい。
「良かったら話してくれませんか?」
「え?」
「無理にとはいいません。ですが、貴方が私におっしゃってくれれば心も軽くなれば…と思いまして」