天の間
□おわりははじまり
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ずっと秘めた想いがあった。
………けれど貴方は私を見ない。私に気付かない。
愛している。……けれど、愛する資格は何処から発生するのだろうか。
*−*−*−*−*
おわりははじまり
*−*−*−*−*
セイント学園の卒業式、矢張り告白ラッシュがこの学校にあるようで、ここの教会にもジンクスが存在しました。
今また一組が、教会内でお互いの想いを伝えているようです。
「シン…俺はずっと……言い出せなかった」
「何故?」
「お前が忘れているのではないかと思ったんだよ、お前はあの頃と少しも変わらず聡明で美しく、俺の事など覚えていないかもしれないと」
「そんなことありません。私は、ずっと…」
「言うな、シン」
「ユ…ダ……?」
ユダは一歩ずつゆっくりと近づいて行き、二人の距離が無くなると、シンの頬に触れた。
「俺は、この世の誰よりもお前を愛している」
「ユダ…」
シンは自らの頬に触れているユダの手の上から重ね、少し赤く染まった頬とうっすらと涙の溜まった瞳を煌めかせて言う。
「私も……、私もユダのこと…」
「ちょっと待ったぁ!!!!!」
と、シンが言いかけた所で突然、教会の木製の質の良い古めかしいドアが音を立てて開いた。
何だ?と抱き合う寸前だった二人は、同じタイミングで音の方を見遣る。
「「シヴァ?!」」
其処には嫉妬に狂ったシヴァが立っていた。額に青筋を立て、ピクピクと痙攣させている。
「シン、お前何やってるんだよ」
シヴァはずかずかと教会に入って行く。
シン…というよりはユダに向かって歩いているいるようだ。
兎に角、シヴァは一目散に進んでいく。
そして二人に掴みかかろうとした所で再びドアが開いた。