捧げ物
□スノウ・マウンテン
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「で、何で私はこんな所に居るのでしょう…?」
「修行に来たに決まってんじゃねぇか」
「いや…修行の前にこれ…
凍死寸前なんですけど――――――――!!!?」
現在の温度―マイナス18度―
場所、どっかの雪山。ただ今猛吹雪の真っ只中。
「さ、寒い…!!てかリボーン…スーツ一枚でなんでそんな余裕な表情してんのさ!?」
「そりゃあこのスーツがボンゴレの最先端化学力を結集した超防寒スーツだからに決まってんじゃねえか」
「何一人だけ超防寒してんのさ!!私だけめっちゃ寒いじゃん!!?」
「それも修行の一つだと思え」
「無理だから!!寒いし吹雪あたって痛いし、立ってるのでやっとだから!!!」
辺りを見回しても、一面真っ白。
自分がどこから歩いてきたのかもわからない状況。
しかもいきなり連れてこられたものだから、こんな氷点下に適した服装さえしていないツナ。
はっきり言って体の感覚が無くなってきた。
「ねえ、リボーン……一生のお願いだから、今日はもう帰りませんか……!!?」
「ったく、根性ねえなぁ…。ま、今日のところはしょうがねえから帰らせてやる………と、言いてえとこだが………」
「な、何…?何かやな予感が……」
「帰り道わかんねえ」
「はいお約束―――――――!!!!!」
確かに回りに草木一つ無いし吹雪で隣に居るリボーンがやっと見えるくらいの視界の悪さだし名前さえも分からない辺境の雪山だけれども!!
自身満々ってか何の迷いもなくずんずん歩いてったリボーンを信じて自分は今ここに居るというのに!!
「ちょ、リボ…お前!!道分かって進んでたんじゃなかったの!!?」
「いや、だって寒かったし?」
「寒かったし?じゃない!!お前さっき自分で超防寒とかいってたじゃんか!!!」
「化学の力にも限度はあるんだよ」
「うるさい!!てかどうすんの!!?このまま遭難して死んじゃうの!!?」
絶対いやだ!こんなアホみたいな最期いやだ!!
ぎゃーぎゃー喚くツナを余所に、リボーンは辺りを見回す。
そして喚きつづけるツナの腕を掴んで引きずると、また迷いも無く進んでいった。
するとすぐに、猛吹雪で見えなかった山小屋らしきものが二人の眼前に現れた。
呆然とするツナの腕を引っ張り、リボーンはあたりまえのように小屋へと入っていく。
「ちょ、リボーン…何で山小屋あるって分かったの?」
「俺に不可能はねえ」
「あるじゃん。思いっきりあるじゃん。道迷ったじゃん」
「………ツナ、そこの薪よこせ。火焚くぞ」
あくまで自分の非は認めないリボーンに、まあ慣れているツナは文句を言わずに薪をくべる。
小屋の中には、小さな囲炉裏と薪、そして遭難者用なのか何枚かの毛布が置かれていた。
囲炉裏で火を焚き、冷えた体を温める。
それでもまだ寒いのか、ツナはしきりに歯をカチカチと鳴らし、体を震わせている。
それを見たリボーンはありったけの毛布を持つと、ツナを後ろから覆うように抱きしめて、毛布で二人を覆った。
「うわっ!?ちょ、いきなりビックリするじゃんか!」
「五月蝿え、黙って暖まっとけ」
リボーンのこういった行為に不本意ながら慣れているツナは、まあ暖かいしとそのまま暖を取った。
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