捧げ物

□スノウ・マウンテン
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それからしばらくして。


「リボーン……今何時くらい…?なんか、もの凄く眠い……」

「8時くらいだな。おい、寝るなよ。こんな寒い中寝たらお前一生起きれねえからな」

「や、やだ!!じゃあもしかして今日って、寝らずに一晩中起きてなきゃいけないの!!?」

「だな。ま、死にたくなかったら頑張るこった」

「ぜ、ぜったい無理………ι!!!」


そこからが、ツナの本日最大の試練だった。

こっくりこっくりと、常に気を張っていなければすぐに夢の世界に入れる状況。

現在だいたい9時くらいか。

もうすでにツナは限界を迎えていた。


「…おい。……おいツナ。てめえ永眠するつもりか?」

「ん…だっ、て…もう……無理………」


本来の諦め性質が出てしまったのだろう、ツナはもう寝る体制に入っていた。

リボーンは呆れたようにため息を吐くと、残りの薪を見る。

残りはあとわずかで、これでは朝まで持ちそうに無い。

そこでリボーンは、ニヤリと不吉な笑みを浮かべると、ツナを抱きかかえて立ち上がった。


「おいツナ、寝るんなら服脱げ」

「ん…、わかっ………はぁ?」


突然のリボーンの発言に目を丸くするツナ。

こんな寒い中服を脱げなど…アレか?いっそのこと苦しまずに早く凍死してしまおうという魂胆か?

ツナが回らない頭でぼーっとしている間に、リボーンはツナの服を脱がし始めていた。


「ちょちょちょちょ!!!何脱がしてんの!?」

「うるせえ。雪山で男女二人が遭難したら、裸で抱き合って眠るのがセオリーってもんだろうが」

「裸でって…嘘でしょ!!?無理無理ぜったい無理!!」

「無理じゃねえ、喚くな。もう薪も少ねえんだ、他に暖を取る方法が無えだろうが」

それともこのまま凍死するか?ま、俺はそんなやわな鍛え方してねえから生き残るけどな。


リボーンの物言いに、口篭もるツナ。

眠気と寒さで回らない頭をそれでもフル回転させて出した結論は……


「分かったよ…!脱げばいいんでしょ、脱げば!!」

凍死よりは、100倍マシだ……うん。マシだよね。






それから間もなく。

残りわずかだった薪も燃やし尽くし、小屋の中は凍てつく寒さとなっていた。

木の床に毛布を敷き、残りの毛布全部でツナとリボーンをくるんでいる。

もちろん、互いの熱を分け与えるように、二人は裸だ。

眠気で相当参ってた筈のツナは、互いの肌が直に触れ合う感触に、もう睡眠どころではなかった。

今までリボーンのセクハラやなんやらで、そういった経験も…まあ不本意ながらあるツナ。

だがその場合、いつもリボーンは最低限脱ぐことをしなかった。

だからツナは、今回初めてリボーンの全裸を見るのである。

これで平常心でいろというのが、酷なものであろう。


「ツナ、もうちょっと引っ付け」

「も、これ以上は………/////」

「何恥ずかしがってんだ。いいから来い」

「のわぁっ!!!/////」


リボーンに腰を引かれ、必然的に密着する二人の体。

それはもう、隙間なんて微塵も無いほどに。


「あ、あのぉ…リボーンさん……?」

「何だ?」

「私の、お腹の辺りに、えっと…何か硬いものが当たって…………ι」

「……………ツナ、お前眠気はどうした?」

「えっ、ああ…何かもう、眠気とか言ってる状況じゃ…ι」

「そうかそうか眠れないのか。なら眠気を誘うには適度な運動がいいよな。体も温まって一石二鳥だ」


そう言ってツナに覆い被さってくるリボーン。

ツナの腹に当たっていた物は、勿論アレなわけで……


「り、リボーン……!?ちょ、待っ……!」

「知ってるか?男っていう生き物は、命に危険を感じた時、子孫を残そうとする本能が働くらしい。つまり、今みてえな状況…俺が何もせずにいられると思うか…………?」


  はい、微塵たりとも思いません。


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