小説1
□最終回その後妄想
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「んぁ?」
唐突と袖を掴まれた。
何かと思って振り返れば、腰の辺りにある小さな頭。
矢鱈とデカく見える目で、俺の顔をじっと見ている。
「んだよ」
ガキに用はねぇと睨む、俺は別にヒマでぶらついているわけじゃねぇ。
忙しいんだよ、いろいろと。
「さがしてるの。」
睨みながら見下ろしている俺に怯みもせずに、はっきりとした声でそいつはそう云った。
「お母さんをさがしているの。」
「知るかよ」
そっけなく云って袖を掴んでいた手を解く。
もう人の探しもんにつきあう気はねぇ。
俺は俺の探しもんで手一杯だ。
「なんで俺なんだよ。むこーにもあっちにも人いっぱいいるだろ、他をあたれ、他を」
「ねぇ、一緒にさがしてよ」
「聞いてんのかよオメェは人の話をよ!」
でっかい目は揺るぎもしないでこちらを見ている。
「あのな…」
ガリガリと頭をかきながらしゃがみ込む、目線を合わせて良く見てもデカい目。
育てばそれなりのイイ女になりそうだが、それがどーした。
「俺はな、忙しいんだよ。おめーの探しもんにつきあってるヒマはねーの。」
答えを待たずに立ち上がって早足で歩き出す。
それでもまだ、後ろをついてくる気配がする。
「 つ い て く ん な !」
振り返って一喝、ガキは怯まない。
睨む様にこっちをみて、なにがなんでもついてくる気になっているらしい。
……めんどくせぇ。
歩いていればそのうち諦めるだろうと、後はもう放っておく事に決めた。
ガキひとり振り払うのに走るのもアホらしい、第一ハラが減る。
日が傾き始めた頃。
そいつはまだ後ろをついて来ていた。
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