小説1

□【君が 彼の人を想うように】
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 僕
 は

 美
 し
 さ
 を
 求
 め
 る







「……生きていると思ったよ」

そう言って笑う僕に
もう お決まりになった一角の言葉が帰って来る


そして 僕は また
美しく終わる時を先に送る






【君が 彼の人を想うように】




戦いの中で死ぬ事を求める僕らは

とても 似て居る

そして 僕と 君は似て非為るモノ


『安易な死は 美しくない』


美しくない死は、君に相応しくない





君は


戦って
戦って
戦って



彼の人の為に 戦って死ぬ




その事を至上に為るなら尚更



「君は死ぬには未だ早過ぎる」



笑う僕に一角は眉間に皺を寄せる




「んなこた俺の決める事じゃねぇ」

お前の決める事でもねぇ、と
言外に滲ませ笑う



その潔さを僕は美しく思う
『彼の人の為に戦って死ぬ』と
そう決めた君の心を美しく思う



そして
僕の美しさは別の処に在るのだ

副隊長が
隊長を護る為に、隊長の楽しみを護る為に在ろうとする様に

君が彼の人の為に戦って死ぬと決めた様に



僕は
僕が 最も美しいと思うモノの為に死ぬ

その美しさを護る為に





「此処は未だ、君が終わるべき場所じゃない

今は未だ、君の終わるべき時じゃない」









美しき末期を求むるは
愚かな事と君は嘲笑うか










しかし 僕はその為に
君が最も美しく終わる為に

その時を見届ける為に









君は美しく逝け






僕は 其れを 護る為に逝く








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