『あひるshort』
□ばんそーこー
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『ばんそーこー』
顔に絆創膏を貼った百春に声をかけた。
『ケンカ?』
私は雑誌のページをめくりながら、彼の顔を盗み見た。
彼は、私の言葉を首を振って否定した。
『試合で怪我したんだよ、よくあんだろーが』
『へぇ』
最近のこいつはバスケに夢中だ。
『今度、練習見に行っていい?』
『やめろ』
『あ、分かった。シュート入らないからでしょ』
『うるせぇ』
機嫌が悪そうに見える目が私を睨んだ。
や、見ただけなんだろうけど目付き悪いから、こいつ。
『バスケしてる百春が見たくなったんだよ』
んんー、と私は伸びをした。
『だからって練習とか試合とか見にくんなよ』
『じゃあ物陰からこっそり覗くだけにする』
『余計ダメだろ』
はぁ。
百春のため息。
いいじゃんか別に。
百春のリバウンドは誰よりも高いってみんな言ってたよ。
見たく、なったんだよ。
END