文テ
□散る間際にお前に伝えよう
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水に飲まれていく瓦礫を見ながら、僕は最期の想いをこの剣に伝える。
この物言う剣、シャルティエは僕が生まれた頃から僕の傍にいたらしい。覚えているのは、物心ついた頃からだけど。
どこへいくにもシャルと一緒に。いつしかシャルは僕の一部になった、強く固執する想いが僕を支配する。
もし、僕が死んで次のマスターは?
なんてことを考えたくない。気が狂いそうだった。
水が僕の足を捕らえ、だんだんと侵食していく。
痛みが心を破壊する。
「シャル…」
『……何ですか?坊っちゃん』
「………………最期まで付き合わせてすまないな…」
こんな愚かな僕に。
すると、シャルは嬉しそうに笑った。
『何を今更。僕は坊っちゃんと共にある存在ですよ。坊っちゃんに付き合えるのなんて、僕ぐらいでしょう?』
視線を落とすと、コアクリスタルにヒビが入っていた。
ああ、どこまでも共に来てくれるのか。なら、いっそ僕とシャルを同じ存在にしてくれ。
シャルを握り、突き刺す。紅い痛みが奔るが、だんだんと薄れていく。
紅い紅い紅い水が押し寄せる。
伝えたい。
伝わっているか?
なぁシャル
「…………愛してる」
最期に相応しい言葉だろ?
目を閉じると、鈍い光が一筋射した。
I will tell you that it scatters at the last minutes.
散る間際にお前に伝えよう
*お題お借りしました