デジモン

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「ハル…大丈夫?」
『なんとか…テリアモンも怪我はないですか?』
「うん、大丈夫だよ」


ベッドで飛ばされた先には、誰もいなかった。ベッドが地面に落ちる直前でテリアモンと飛んで脱出した。雪があったため怪我もなく済んだ。それにしても…寒い。服を入れていた洗濯機まで一緒に飛んできていたようだ。形が変形して近くに落ちている。急いで中から服を着て辺りを見渡す。


「…みんないないね」
『そうですね…』


みんな違う方向に飛ばされていたから、ここには誰もいないかも…。その場に立ちすくんでいると、雪にスニーカーが沈んで濡れていく。


「海に行けば何かわかるかもしれないよ」
『そうですね、行ってみましょうか』


森を抜けて雪道を進む。海水の匂いがする方へ進むと、見慣れた青色と黄色が見えた。


「あれは…アグモーン!」
「あれ…テリアモン!それにハル!」
「無事だったのか!他のみんなは?」
『わかりません…みんなバラバラに飛ばされてしまったみたいで』


太一とアグモンがいた。他のみんながいないことを知ると、太一は少し落ち込んだ。


「そうか…でも瀬川だけでも居てよかった!」
「これからどうするの?」
『みんなを探すしかないですね』
「ああ、そうだな」


にしても、雪山だけで何もない。島が分裂する前はもっと森が広がっていたんだろうか。


「何これ?」
『ポストですね…それもたくさん』


ポストがずらっと並んでいた。こんなにたくさん…誰が使うんだろう。

そう思っていると、雪の中から雪だるまが現れた。


「ユキダルモンだ!」


ユキダルモンは雪玉を投げて攻撃してきた。あんな大人しそうなデジモンなのに、どうして?


「あれは!」
「黒い歯車だ!」
『じゃあこのデジモンも操られて…!』
「ハル危ないよ!」
「絶対零度パンチ!!」


ユキダルモンが殴ったポストがカチンコチンに固まってしまう。あんなの食らったら凍っちゃいますよ…!


「黒い歯車を早く外さないと…!」
「僕たちに任せて!ベビーフレイム!!」
「ブレイジングファイア!!」


炎の攻撃なのにユキダルモンには全然効いてない。威力が足りないんだろうか。


「絶対零度パンチ!!」
「あれを喰らっちまったら最後だぞ!」
『進化できませんか?!』
「お腹空いちゃって」
「力が出ないよ!」


パンチを避けながら逃げる。こんな雪山に食べ物なんてないし、逃げた先は行き止まりだった。


「瀬川、俺の後ろにいろよ…」
『八神くんどうするんですか…!』
「太一!僕を投げて!ユキダルモン目掛けて投げて!」
「背中に飛びついて攻撃するんだね!」


そう言うがアグモンが大きくて重くて投げられない。テリアモンなら…と投げようと構えた時


「瀬川前!!」
「避けて!きてる!」
『うわ、!』


襲いかかってきたユキダルモンの足の間をアグモンを抱いたまま滑っていく太一。その時ハルの手を引っ張ったため、テリアモンを抱いたまま同じく滑った。


『いたた…』
「見て!今のうちだよ!」


雪の壁にパンチを繰り出し、雪崩れ落ちた雪に埋もれたユキダルモン。太一はアグモンに丸まるように指示。


「エースストライカーのミラクルキックを見せてやる!」


太一の蹴ったアグモンは宙を舞いながら回転しユキダルモンの背中に飛んでいく。


「ベビーフレイム!!」


背中にしがみついたアグモンは至近距離から黒い歯車目掛けて技を放った。熱さに暴れるユキダルモン、そして歯車も一緒に外れて消え去った。


「やった!」
『よかった…!』
「あれ…なんで暴れてたのかな…」
「黒い歯車でデジモンに操られたんだよ」


取ってくれたお礼を言ってくれるユキダルモン。あのまま見過ごすなんてできなかった。すると、顎に手を当てて違う島の方を見つめるユキダルモンは他の子供を見たと言う。


「ガブモンが?!」
「ヤマトだ!」
『かなり遠いですね…』


泳いで行くのも無理だ。進化もできない今、どうやって海を渡ったらいいのか…。そうしていると、ユキダルモンが絶対零度パンチで氷を張り、流氷沿いに歩いていくことを提案してくれた。それを頼りに歩き出す。


「まだあんなにあんのかよ?!」
「僕眠くなっちゃった…」
『あの島も動いてますからね…』
「僕も眠いよ…」


眠くなったテリアモンを腕に抱く。太一もアグモンも眠い様子。


「これなら楽チンでしょ」


ユキダルモンが2人を肩に抱いて歩き出す。ユキダルモンってかなり冷たいんじゃ…


「キミも僕に乗るかい?」
『いや私は大丈夫です…』


凍え死んじゃいそう…太一もかなり震えていた。
いつのまにかテリアモンも腕の中で眠っている。ハルはただまっすぐ流氷沿いに歩き進めた。
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