短編

□燦爛イヤー・ロブ
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1時間ほど前、トランクスの家に悟天がやって来た。

「ねぇこれ、トランクスくん手伝って!」

「は?なんだよ急に」


課題を終わらせようと努めるトランクスの事などお構いなしに、悟天はチャックの開いたカバンを逆さにして、机の上にカバンの中身を落とした。


全くこいつは…と思いながら悟天が机上に置いたものを手に取って見る。


「これ…ピアッサーじゃん」


手に取った物は見覚えのあるパッケージのピアッサーだった。
トランクスもつい2ヶ月ほど前にピアスを開けたばかりなので、同じものだとすぐに分かった。
カラット数の多い石を使っていて、凝ったデザインをしているこれは、なかなか普通では買えない代物だし、値が張る。


そのピアッサーが、3つある。



「お前、まさか───」

「そのまさかです!
トランクスくんに僕のピアス開けてほしーなーって思って!」


ヘヘッと満面の笑みを見せる悟天とは対称的に、トランクスは目を見開いて驚いた表情をしていた。


「お前あんなにピアス嫌がってたのに…?」


そうなのだ。悟天の今日の言動を見てトランクスが驚くのも無理はない。
悟天は、トランクスがピアスを自分で開けるから曲がっていないか見てくれと頼んだとき、
「そんな所に針を貫通させるなんて信じらんない!」
と苦い表情を浮かべていたのだ。


戦いで負った傷や痛みに比べればこんなもの誤差の範囲だろとトランクスが言うと、
それとこれとは話が別だと悟天は言った。

結局、トランクスがセルフピアスを開けている間、悟天はずっと嫌そうな表情をしていたのだ。

それほどまでピアスを嫌がっていた彼が突然どうしたと言うのだろうか。


「いやぁ…なんだかトランクスくんのピアスがカッコイイな〜って思ったら、僕も開けたくなっちゃって」


2人は生まれてからずっと、17年もの付き合いだ。互いのことは誰よりも分かっているつもりだが、悟天のこういう突飛で極端なところには、今でも驚かされる。


早く開けてくれと言わんばかりの悟天の輝いた瞳を見て、さっそく準備を進める。



悟天を自分のベッドに座らせ耳を冷やさせている間に、ピアッサーを取り出して自分の手を消毒する。
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