短編
□燦爛イヤー・ロブ
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「にしてもお前さ、なんでその色にしたわけ?」
トランクスは開けている最中、ずっと気になっていた。
悟天は紫色や水色があまり似合わないと自分で言っていたし、本人もあまり好きではなかったようだったので、ピアスを開けた時は驚いた。
トランクスがその問いを投げかけると悟天は急にビクッと体を震わせて視線を泳がせた。
「え…あ、いや…何となくだよ…!」
流石になにか理由があることにはすぐ気付いた。
悟天は昔から隠し事や嘘が下手だ。
「ふ〜〜ん?
お前の様子見てる限りじゃ、何となくって訳じゃなさそうだけどな。」
「いや…そんなこと…」
「ピアス開けてやったんだ、代わりに理由くらい教えろ」
そう言うと悟天は観念したようで、ため息をつきながら顔を両手で覆った。
「…トランクスくんの、髪の色に…似てると思った……から…………です。」
「…はっ?」
予想もしていなかった答えに思わず腑抜けた声が漏れ出た。
悟天の顔はみるみるうちに真っ赤になっていき、両手で隠していても丸わかりだった。
「うぅ…だから言いたくなかったのにぃ…」
「じゃあ悟天、3つ目は?
ていうかなんで3つ開けたんだ?」
「それは……っ」
悟天がまた言葉を濁そうとするが、その後深呼吸して話し始めた。
「…トランクスくんのピアスは、3つ開いてるでしょ?
左に2つで右に1つ。」
トランクスがうなずく。
トランクスも同じように、左右対称にブラックダイヤモンドのピアスを1つずつ開け、
そして左耳にもう1つ、エメラルドのピアスを開けていた。
「トランクスくんが左に2つだから…
僕は右に2つにしたら、お揃いみたいかなって思って……
……水色にしたのは…」
「…俺の目の色?」
そう言われて悟天はゆっくりとうなずいた。
まさか、と思って言ってみたら当たってしまった。
こいつはどれだけ俺を煽れば気が済むんだ、とトランクスは思わずにいられなかった。
「お前……ほんと、可愛いやつだな」
「うるさいなぁ!恥ずかしいからもうこの話なしにしよう!」
悟天の顔は真っ赤になるだけではなく、目には涙まで溜まっていた。
余程恥ずかしかったのだろう。
なら他の誰かに頼めば良かったのに、とトランクスは悪戯に思った。
「…じゃあさ、このピアッサーなかなか普通に買えないレアもんじゃん?高いし。
わざわざ買ったわけ?俺とお揃いにしたくて?」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!
やめて!全部説明しないで!!」
悟天はもう限界だ、と言うふうに叫びながらトランクスのベッドの枕に顔をうずめた。
わざわざ恋人と同じピアスを開けたくて高い金を出しピアスを買った悟天。
本当にコイツはどこまでも可愛い奴だな、とトランクスは思った。
「悟天」
「……なに」
ふてくされた声で悟天が答える。
枕にうずめている顔をこちらに向かせて、トランクスはゆっくり優しくキスをした。
その瞬間も、2人のピアスは燦爛と輝きを放っていた。