短編

□机上の甘い囁き
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はじめは嫌がっていた悟天だが、名無しに教えられていくうちに少しずつ集中して取り組むようになっていった。



「やった〜!自力でこんなに解けたよ!」


「すごいじゃん!!
この調子で残りも頑張れ!」



「うん、ありがと〜名無しちゃん!
おーし、このまま続きも………

あれっ、これ分かんないかも…」



曇った表情を見せる悟天に、解き方を教えてあげようと名無しは身を乗り出して問題集を覗き込む。



「あ〜、これ応用だから難しいやつだよ
ちょっと私が今から書くの見てて」



名無しが自分のノートを使い、悟天に見えるように解説していく。



「…名無しちゃんのまつ毛、長いんだね」


「…えっ!?」


解説の途中で発せられた突然の言葉に、名無しは思わず声をあげる。



「急にどうしたの…?
ていうか解説聞いてた…!?」


「あ、いや、ごめん!
聞いてたよ!聞いてたけどチラッと名無しちゃんの顔見たらあまりに綺麗だから…」



ごめんね、と言いながら悟天はまた優しく微笑む。


それを聞いた名無しは、顔が赤くなっていくのが自分でも分かった。




「悟天くん、そういう所ずるいよ…」



耐えきれなくなって思わずそう呟く。


小さな呟きだったが悟天にも聞こえていたらしい。


「えっ、ずるい…?」



悟天は口をぽかんと開けて名無しの方を見ている。


「ずっと一緒に居たいとか、綺麗とか、そういうこと言うとこがだよ…!」


「ああ、だって本当のことなんだもん。
名無しちゃんは可愛くて勉強も出来て、それで僕に勉強を丁寧に教えてくれるし優しくて。
本当にすごいなって思うよ!」


その甘い言葉にどんどん顔が熱くなり、鼓動が早くなる。


期待してもいいのか、と。



しかし彼は男女関係なく沢山の友人がいる。


きっとこんな甘いセリフを言われてるのは、私だけじゃないだろう。


この間だって、女の子数人に囲まれて楽しそうに話している彼を見た。




他の女の子にも、可愛いとか───。




そう考えると悔しくて、妬ましくて心が痛くなる。


自分が勝手に被害妄想をしているだけなのに傷つくなんておかしい。
そう思っても傷つかずにはいられなかった。
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