短編

□その右手で。
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※原作の最終回、エイジ784年を舞台にしております。
※オリジナルの敵キャラが、名前だけですが登場します。
ご注意ください。以下小説となります。





「兄ちゃん!僕のそばに来ないで!」

「え!?どうしてだ悟天…」

「あああ!だからほら!来ちゃダメだってば!」




仕事が落ち着き久々に実家に顔を出した悟飯は、悟天になんとも粗末な出迎えをされた。



(まさか…あのお兄ちゃんっ子だった悟天に反抗期が…)


いくら兄弟仲が良いとは言え、悟天はもう17歳だ。
今まで反抗的な態度を取ったことがなかったのだから、むしろこれは自然な成長なのだろう。弟の成長は喜んでやるべきだ。


しかしそうは言ってもやはり悲しいな、と思う悟飯は、深い哀愁の表情を見せた。



「…兄ちゃんなんか勘違いしてない?」


「え?」


「別に兄ちゃんが嫌いになったとかウザイとかじゃないし!
…昨日戦った相手、いたでしょ?」


「うん?ああ…ゴーダとポーネだっけ?」



実は天下一武道会が終わり、悟空がウーブを連れて旅立った後にまた厄介な敵が地球に現れたのだ。


ゴーダとポーネはギニュー特戦隊の中の一人、ジースの親類だったそうだ。
フリーザ軍も壊滅し、住むところを失った彼らは偶然地球に降り立ち悪さをしようと企んでいた。


幸い苦戦することもなく、悟飯と悟天の2人で倒せたのだが───。


「アイツらの攻撃で、一つだけ僕達がくらっちゃったビームあったでしょ。
あれさ、受けた者同士が磁石みたいにくっついちゃう技だったみたいなんだ。」


「え……!?」


「兄ちゃんのヘッドホン借りようとして手に取ったらさ、ヘッドホンが僕から離れなくなったんだよ。
ビックリしてブルマおばさんに調べてもらったら、そのビームのせいだって。」


悟天は眉をひそめながらそう説明した。
どうやら2人が受けてしまったビームは


『互いを磁石のようにくっつける』

『相手が最後に触った磁力を持つものが、自分の体にくっついてしまう』


という効果を持っているらしい。



「くっついたのが物とかなら、違う人に取ってもらえばいいらしいんだけど
僕達同士がくっついちゃうとヤバいみたい。
ビームの効果が消えるまで、だからあと3日くらいはくっついたままになっちゃうらしい。」


「そ…そうだったのか…だから悟天は…」


「そういうこと!
ブルマおばさんが言うには、半径2m以内に対象の相手がいるとダメらしいよ」


「…つまり4mは離れてないといけないってことになるね」


「…あ、そっか!…4mって結構あるね」


「ああ…一緒にご飯も食べられないな…」


悟天は2人合わせると4mという事に気付いてなかったらしい。
それを知るとガックリと肩を落とした。



「じゃあ僕、トランクスくん家に泊めさせてもらうよ!
兄ちゃんせっかく久々に帰ってきたのに、それじゃあお母さんが悲しむし。」


「いやいや悟天!兄ちゃんは大丈夫だぞ!
それに明日っ……」


「あんれ〜〜!?
悟飯ちゃん、もう帰ってきてただか!?
んだもぉ、もっと早く買い物終わらしときゃ良かったなぁ!」


窓から家を出ようとする悟天を引き止めようとしたとき、ちょうどチチが買い物袋を抱えて帰ってきた。


「母さん!お久しぶりです、あの…」


「んだ〜悟飯ちゃん腹減ってるだか?
今からたらふくご馳走食わせてやっから待っててけろ!
…うわぁっ!?」


生き生きと話している途中、重い買い物袋を抱えていたチチはバランスを崩してしまった。


「母さん!!」
「お母さん!!」


咄嗟に悟飯と悟天がチチの元へ飛んで行った。
しまった、と思った時にはもう遅かった。
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