短編
□貪欲に声を出す
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「もう…他の女の子とちゅーしたり、した?」
するわけねーだろ。そう思った。
俺は悟天が好きで、女の子に興味が持てなくて…
それで女の子とキスなんて、する訳ない。
「してない。…お前は?」
「僕もないよ…」
「…じゃあさ」
「…うん」
「もう一回だけ、してみる…?」
俺の声は震えていたし、心臓も今にも破裂しそうだった。
言ってから後悔した。
でも、顔は真っ赤になり、涙目になって呼吸を荒らげながら俺を見つめる悟天を見て、もしかしたらと思ってしまった。
もしかしたら、いけるんじゃないかと。
「…うん」
悟天は消えそうなか細い声で承諾し、その後すぐにうつむいた。
言っておいてどうかと思うけど、正直承諾されるとは思ってなかったから嬉しさで顔が熱くなった。
俺は震える手で悟天の顎をあげて、目を閉じて、ゆっくり唇を近づけていった。
悟天の唇は昔と変わらずふにゃっと柔らかくて気持ちが良かった。
悟天の唇を舌でなぞる。
「んっ…ふっ、…」
悟天が体をビクッと震わせて声を漏らす。
その声で俺は完全にヒートアップしてしまい、少し開いた悟天の口に舌を入れた。
こういう、悟天の甘い声に弱い所は10年前から変わっていないんだなと思う。
行き場を失っている悟天の舌を、自分の舌で絡めて転がす。
「ぁ…っ、ふっぅ…」
「んっ……」
ゆっくり目を開けて悟天の顔を見る。
悟天の目には涙が溜まっていて、顔はリンゴみたいに真っ赤になってた。
顔はとろんととろけていて、正直、エロいなと思った。
もっと悟天のそういう顔が見たい、と思って舌の裏や上顎、歯茎を舌でなぞる。
「あっ…!んぅっ、…んっ…トラ…っクスくっ…ぅんっ…」
刺激の強いキスに喘ぎ声をあげながら、悟天は俺の背中にギュッと腕を回した。
「んっ…やぁ…そ、それ…やぁっ…」
悟天は感じてるからか、大きな声でそう言った。
「…嫌?…やめる?」
「やぁっ…やめ、ない…」
悟天がふるふると首を横に振る。
どっちなんだよ、と思ったけど俺とのキスで感じて、混乱している悟天を見て、可愛いなと思った。
悟天の伸びたダボダボのシャツの裾をめくりながら、
「…続きしていいか…?」
と聞いた。
「……うん…」