中編@(完結)

□決意
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「なるほどな……なぁ、なまえ。」






話を聞き終えた安野さんが、神妙な顔で、こっちを見る。






「はい?」






「お前、その子のこと好きなんじゃね?」





「……え?」





そうなんか?





「えっ?って何やねんそれ。白々しい。」




安野さんは、笑いながら言う。




「やって、そやろ。仕事中も含めて、何してる時もその人の事を考えてしまってるんやろ。」




「まぁ、そうですけど。」




それは間違いない。




「なら、それは恋や。あ〜、よかった。よかった。なまえにも、ついに春が来たか〜。」




安野さんは、そう言うと立ち上がって




「ほな、俺は帰るから〜。」




立ち去った……。




「……これって恋なん………か?」




確かに、さくちゃんの事を考える機会は増えた。




以前に比べると、かなりだろう。




でも、これって……




……





「いや〜、矢久保ちゃんもさーちゃんも可愛い〜。みょうじくん、もしも2人に告白されたら、どうしよう〜。」





「そんなこと起こる訳ないやろ。」





「いや〜、迷うよね〜。」





「…………。」






……俺の脳内で、丸原との会話が思い返される。





この時の丸原の、矢久保さんと掛橋さんに対しての気持ちは推しとしての好きだろう。





まぁ、丸原の場合は、ちょっと行き過ぎ……





いや、キモすぎる所があるけど





俺が、さくちゃんに抱いている気持ちは、丸原と一緒で推しとしての好きなのか……





それとも……






遠藤さくらという、1人の女性に対して抱いてしまった恋なのか……?





もし、そうなら





……ダメだろ。






相手は、ただの女子高生っていうわけじゃない。






天下の乃木坂46の新センターに、なる子だ。





でも、俺は、ただの一般人。





住んでいる世界が違う。





てか、





そもそも、





アイドルは恋愛禁止なんやから。





さくちゃんと恋愛関係になることなんてないやん……
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