中編@(完結)

□いよいよ
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「みょうじくん、身分証明書持ってきたよね?」


「おん、言われたから持ってきたで。ってか、学生証普段から財布に入れてるし。」


……


昨晩0時頃


すっかり就寝モードでいた俺に丸原から電話がかかってきた。


そして、開口一番


「みょうじくん、身分証明書と握手券鞄にいれた?」


と聞かれ、


「おう、入れた入れた。」


適当に、そう返事をしたのだが、


「良かった〜。もし忘れたら……」


そこから握手会の注意点やら、メンバーごとに話したことがいい話題とかについて説明された。


「おん……おん。」


こんな感じで素っ気ない返事をしていたのだけど、丸原のマシンガントークは止まらなかった。


もうめんどくさくなって満足いくまで喋らせた。


「みょうじくん、身分証明書と握手券忘れちゃダメだよ〜。」


最後に、また確認された。


くそ、めんどくせぇ……


……


短い間に2回確認されたら、そのまま寝るのは気が引けて、鞄の中に学生証と握手券が入っているか確認してしまった。


というわけで忘れるわけがない。


そんなこんな、話をしていると、


「あっ動きだした。」


列が動きだした。


係員の人に、握手券を見せてっと。


建物内に入った。


「めっちゃ広いな。」


「そ〜かな〜。パルコプラザは、会場の中でも小さい方じゃないかな?」


俺の呟きに丸原が反応する。


その声につられ、丸原の方を見ると、


「……何それ?」


「……ん?」


「いや、首から掛けてんの。」


首に何かかかっていた。


「あ〜、これは名札だよ。みんなに覚えて貰いたいからね〜。」


「へぇ〜。」


その名札には、丸ちゃんと書かれていた。


「あっ、ケースの予備あるけど、みょうじ君も作る?」


「いや、いい。」


俺は即答で断る。


オタク歴が浅い俺は、別に名前を覚えてもらいたいとは思わなかった。


てか……
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