中編@(完結)
□夜
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ぶるるるるっ。
床に置いておいた携帯が揺れる。
やっと来たか。
「はい、もしもし。」
とりあえず、俺は急いで電話を取った。
「あっ、もしもしみょうじくん。」
声の主は少し弱々しい遠藤さんの声ではなく……
「なんや、丸原かよ。」
「あっ、ごめんね。こんな遅くに。」
電話越しに、しょんぼりするのが伝わる。
「いや、別にいいけど手短かに頼む。」
「あっ、あの。昨日の川原先生の講義、休んじゃっていてノート取れていないから明日見せてくれへんかな?」
なんや、そんなことか……。
心の中で、呟く。
「あぁ、そんくらいならええよ。」
「あっ、ありがとう。」
「はいはい、じゃ切るぞ。」
「うん、おやすみ。」
「はいはい。」
俺は、そっと電話を切った。
なんか、拍子抜けしたな。
何だか全て夢の出来事であったような気がした。
もういいや、寝よっ。
俺は、ベッドに横になろうとしたら、また電話が鳴った。
どうせ、また丸原やろ。
俺は、そう思いながら電話をとる。
「はい、もしもし。」
「あの……ごめんなさい、遅くなりました。遠藤です。」
電話相手は少し弱々しい声の遠藤さんだった。