中編@(完結)
□初めて見る世界
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丸原の目が少し潤んでいる。
まじか……
泣きそうじゃん。
俺は、無言でハンカチを差し出す。
「あっ、ありがとう。そっ、それと、
あの子がさくちゃんだよっ。」
「さくちゃん?」
「みょうじくんのタオルの子だよ。」
タオルの子……あっ、さくちゃんって
遠藤さくらさんの事か。
理解した。
そうか、アイドルやから、ニックネームとかあるよな。
「てか、あの子達はなんなん?」
場内では、静かな曲が流れ始めている。
その中、俺は小声で丸原に話しかける。
「あの子達は4期生だよ。」
「4期生って、どういうこと?」
「あっ、いや〜。去年の夏のオーディションで受かった子達だよ。」
「へぇ、最近やねんなぁ。」
《思い出に負けないように〜。》
綺麗な歌声が響く。
遠藤さんも可愛いけど、他の子も可愛いなぁ。
あのショートカットの子も可愛いなぁ。
バイト先で、こんな可愛い子達は見たことない。
「あぁ、矢久保ちゃんもいいけど、さぁーちゃんも可愛いし、あやめんも可愛い〜。」
隣で丸原は興奮している。
さぁーちゃん……?あやめん……?
まぁ、もちろん俺は、ちんぷんかんぷんだ。