長編(坂道×野球)

□第10話
2ページ/8ページ


そもそも、いきなり勝負を吹っ掛けられるとも思っていなかったし、
若月さんには、センター前ヒットを打たれたし……

正直、バッティング勝負というのは、本当に最終手段だった。

「ていうか、良太君って、本当に野球やってんだね。」

「まぁ、昔少しね。」

花奈さんも、ホームランを売った時驚きの表情を浮かべていた。

あっ、そうだ。

「そうや、真夏さん。今から若月さんと樋口さん、この部屋に呼んでくれへん?」

俺は、若月さんと樋口さんに、聞きたいことがあったんだった。

「えっ、何で?」

「いや、ちょっと話したいことがあるから。」

何だか、真夏さんが少し機嫌が悪くなった気がする。

「………………私のこと……もっと……」

そして、小声で何か言った。

「えっ何て?」

けれど、まったく聞こえなかった。

「いや、別に〜。」

真夏さんが頬を膨らましながら、全て食べ終わった俺の食事を片付け始める。

「あっ、じゃあ、私。呼んできましょうか。ついでに、このおぼんとか向こうに持っていくんで」

花奈さんが、少し苦笑いしながら、口を挟む。

「あっ、じゃあお願い〜。」

「はいは〜い。」

結局、真夏さんは出ていかずに、花奈さんが部屋から去った。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ