長編(坂道×野球)
□第10話
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そもそも、いきなり勝負を吹っ掛けられるとも思っていなかったし、
若月さんには、センター前ヒットを打たれたし……
正直、バッティング勝負というのは、本当に最終手段だった。
「ていうか、良太君って、本当に野球やってんだね。」
「まぁ、昔少しね。」
花奈さんも、ホームランを売った時驚きの表情を浮かべていた。
あっ、そうだ。
「そうや、真夏さん。今から若月さんと樋口さん、この部屋に呼んでくれへん?」
俺は、若月さんと樋口さんに、聞きたいことがあったんだった。
「えっ、何で?」
「いや、ちょっと話したいことがあるから。」
何だか、真夏さんが少し機嫌が悪くなった気がする。
「………………私のこと……もっと……」
そして、小声で何か言った。
「えっ何て?」
けれど、まったく聞こえなかった。
「いや、別に〜。」
真夏さんが頬を膨らましながら、全て食べ終わった俺の食事を片付け始める。
「あっ、じゃあ、私。呼んできましょうか。ついでに、このおぼんとか向こうに持っていくんで」
花奈さんが、少し苦笑いしながら、口を挟む。
「あっ、じゃあお願い〜。」
「はいは〜い。」
結局、真夏さんは出ていかずに、花奈さんが部屋から去った。