長編(坂道×野球)

□第9話
6ページ/7ページ


「今の言葉に、嘘はないの?」

「えっ?」

顔をあげると、そこには樋口さんがいた。

「ないの?」

「うん、ない。」

「分かった。」

樋口さんが、笑って、

「じゃあ、日奈と勝負しようよ。」

こう言った。

「いいん?」

「いいよ、私も何か勝負できるんだったらしたいし。その代わり、私は本気で行くよ。」

樋口さんは、ずっと笑顔で続ける。

「ねぇ、若っ。それで、いいでしょ。」

「まぁ、いいか。」

若月さんは、そう言って少し不服そうな寺田さんを連れてベンチに向かった。

「じゃあ、本条さん。1打席真剣勝負ですよっ。」

樋口さんが、笑顔でマウンドに向かう。

それから、高山さん相手に投球練習を始めた。

横から見る限り、コントロールがいい。

高山さんのグローブがほとんど動いてない。

でも、球種はそんなにないな。

俺は、そう考えて、打席に入った。

「じゃあ、プレイボール。」

再び、花奈さんが、声をあげる。

樋口さんが、ゆっくりとした投球フォームで、投げた。

スパーン。

高山さんのミットが乾いた音を出す。

「ボール。」

花奈さんが、しっかりと判定してくれる。

そして、高山さんから返された樋口さんが、再び投球フォームに入る。

そして、

カキーーーーーン。

打球音が、グラウンドに響いた。

→→あとがき→→
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ