長編(坂道×野球)
□第9話
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何者なんですか?って言われても困るな。
会社辞めてからは、フリーターだったしなぁ。
でも、フリーターって言ったら、ますます監督として認めてくれなさそうやしなぁ。
「良太君はね。昔、凄い野球選手だったんだよっ。」
俺が、回答に困ってると、真夏さんが大声で言った。
「え?」
「そうだよね、良太君?」
俺、昔、野球やってたとか真夏さんに話してないぞ……
戸惑う俺に、真夏さんは続ける。
「良太君はね。みんなよりも上手いんだから。」
「ちょっ、真夏さんっ?!」
「へぇー、面白いじゃん。」
驚く俺とは、対照的に若月さんは笑った。
「いや、そんな大した選手では…」
「ポジションはどこだったの?」
「えっ?」
「どこっ?」
「一応、ピッチャーだったけど。」
「じゃあ、今から私と蘭世と勝負してくれない?」
「えっ?」
「それで、私達を抑えたら、監督として認めてあげる。でも、私達がヒットを打ったら……」
続きは言わずに、若月さんは、不敵に笑った。
「いやいや、ちょっと待って。」
「じゃあ、さっさとマウンドに立って。」
俺の事を無視して、若月さんが打席に向かう。