長編(坂道×野球)
□第5話
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「ほら、良太君。そこに座って。」
「えっ?」
「え?じゃないの。早く。」
真夏さんは、無理やり俺を座らせて、
俺の頭を、わしゃわしゃしだした。
「えっ、ちょっ。」
「はい、出来た。」
ものの数秒。今度は、真夏さんが手渡してくれた鏡を見ると、すっかり寝癖も大人しくなっていた。
「あっ、ありがとう。」
「いえいえ、」
真夏さんが笑いながら、答える。
てか、真夏さん。凄いな。
家庭的な女の子すぎるだろ。
「おやおや、おふたりさん。何だか新婚さんみたいですね〜。」
あっ、そうだ。
この部屋には、もう1人いたんだった。
振り返ると、
みり愛さんが、何やらニヤケていた。
「えっ、いや、そんな。」
「ちょっと、みり愛。何言ってんの?!」
俺も、真夏さんも何だか少し慌ててしまう。
「あっ、もう私達戻るね。」
「あっ、うん。了解。また、後で。」
「あっ、真夏さん。もういいの?」
「もういいの?じゃないの!ほら行くよ。」
何故だか少し、顔を赤らめた真夏さんは、早口でそう言って、ニヤける みり愛さんを引っ張って部屋を出ていった。
……何か一昨日までとは、考えられない生活になっちゃったなぁ。
一昨日までは、夜勤のバイトもやったりしていたから、食生活なんて、めちゃくちゃで、バイト先の余った物か、賞味期限ギリギリとなった安物を食べたりしてたから、何だか変な感じだ……
そんなことを考えつつ、持ってきてくれた味噌汁を啜ると……
「あっ、美味しい。」
めちゃくちゃ美味しかった。