中編A

□第6話
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とある夏の日。




美月「夏だね〜。」





『夏だな。』





俺は美月と話していた。




美月「こんな日は、かき氷とか食べたくならない?」





『あー、分かる。とりあえず、身体を冷やしたいよな。』





美月「後さ〜、やっぱり辛いものも食べたいな〜。」





『まじで言ってる?』





美月「マジ、マジ、大マジ。」





美月は何故か、自信満々に頷いている。





『そんなんしたら、余計、汗かくやん。』





美月「それが、いいんじゃん。」





あー、これは色々反論しようとしたら、面倒くさくなる奴だな。





美月の大きい目が真剣だ。





前も言ったけど、もう少し、目力を抑えて欲しい。





まぁ、こんな感じで美月と馬鹿みたいな話するのにも慣れてきたなぁ…。





祐希「隙ありっ。」





『冷てっ。』





前を見ると、ホースの先を俺の方に向けて笑う祐希がいた。





『何すんねん。』





祐希「サボる権之助が悪いんやもんー。」






そう言いながら、祐希は逃げる。





史似「「あっ、祐希。走ったらっ…。」





祐希「うわっ。」





残念ながら、くぼしーの忠告は間に合わず、祐希は思い切り足を滑らせていた。





『何やってんだ、あいつ…。』





あっ、バスケですか。





はいっ、負けました。





バスケシーンの描写も必要ないくらい、余裕の負けです。





ジャンプボールはマストとか言ってた、あのときの自分へ。





それ以前の問題でした。





ジャンプボールを上手く弾いた俺、





そのボールは祐希の方向に向かって




祐希「あいたっ」





見事にヘディング。





そこから、相手にボールを取られ、そのまま負ける。





次も、その次も、





普通に負けて、5チーム中、唯一の3連敗で最下位。





で、今、プール掃除をやる羽目になっている……





祐希「いたーい」





あのバスケの時と同じように祐希は頭を押さえている。





どうやら、頭を打ったようだ。






『大丈夫か?』





祐希「めっちゃ痛いー。」





ガッツ溢れる祐希も流石に涙目だ。





『どこ打った?』





祐希「ここー」




祐希が押さえるところに俺も手を当てる。





祐希「撫でてー」





『はいはい。』





小さい頃から、祐希は怪我をしたりすると、俺に、こう要求してくる。





変わらないなぁ……





少し懐かしい気持ちに浸されてる。
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