中編A
□第2話
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??「ねぇねぇ、山下さんっ。東京って、どんな所なの?」
山下「う〜ん。ビルとかが、いっぱい建ってるよ。後、高校に校庭はあったけど、ここみたいにでかくなかったなぁ。」
??「芸能人が街中、歩いてるんやんな?」
山下「歩いてるかもしれないけど、意外に気づかないもんだよ〜。」
??「そうなんだ、山下さんは誰か見た事あるの?」
山下「あるよ〜。いつも、叫んでるお笑い芸人の…」
すげぇ。
朝礼が終わると直ぐに、俺の隣席には人だかりが出来ていた。
中心にいるのは、もちろん山下さん。
矢継ぎ早に飛んでくる質問に対して、笑顔で対応してる。
祐希「山下さん、大人気だね。」
『せやな。みんなの田舎者感が丸出しや。』
祐希「も〜、そんな悪い言い方せんといてよ〜。」
『いや、事実やろ。』
祐希「それやったら、うちも田舎者やんか〜。」
いや、お前も話かけに言ってたんかよ。
山下さんの所にいることで、空席となった快の席に座った、田舎者…
いや、祐希が頭を抱える。
祐希「権之助は、話に行かへんの?」
『まぁな、別に、今じゃなくてもええしな。』
祐希「まぁ、隣の席だもんね〜。」
てか、あんな囲まれ続けるのは疲れるやろうしな。
今井「ほらほら、お前ら。席に着け〜。」
そうこうしているうちに、チャイムが鳴り1時間目が始まる。
科目は、担任の今井先生の世界史だ。
今井「じゃあ、今日は…と、その前に、権之助っ!」
『はい?』
唐突に名前を呼ばれる。
なんかしたっけ?
こういう時って、何もしていなかったとしても、なんか胸騒ぎがする。
今井「山下さん、まだ、教科書届いとらんらしいから、見せたってくれ。」
隣を見ると、両手を合わせながら俺を見る山下さんが居た。
『分かりました〜。』
そう言うと同時に、山下さんが机を引っつけてくる。
今井「じゃあ、権之助、教科書届くまで、書く科目、見せたってな〜。」
『は〜い。』
山下「よろしくねっ。」
小声でお礼を言われる。
『おうっ。』
改めてやけど、
整った顔してるな〜。
そんなことを考えていると、
今井「お〜い、権之助っ。山下さんに見とれんな〜。」
『見とれてないですっ!』
今井先生にいじられてしまった。