中編@(完結)

□そして
1ページ/7ページ



間違いない、さくちゃんだ…。



目が覚め、辺りを見渡すと、そこには、さくちゃんがいた。



文字で起こしてみると、余計に訳が分からない状況だな…。



「……」



「……」



二人の間を沈黙が支配する。



…気まずい。



そんな中、俺は、この感情を持つしかない。



そりゃ、そうだ。



俺は、最後にさくちゃんと連絡を取ったきり、連絡が来ても無視していた。



そんな相手と急に二人っきりになる…



そんな出来事が起こるなんて、全く予想出来なかった。



「えーっと、何で、俺はここに…?」



なんとか、絞り出した言葉は、それだった。



「あっ、えーっと、それは…」



少し、おどおどしながらも、さくちゃんは教えてくれた。



遡ること数時間前。



翌日のライブが無くなったことで、時間的に少し余裕が出た、さくちゃんは、仲のいいメンバー達とプチ女子会をしていたらしい。



その女子会は、大いに盛り上がって、気づくと遅い時間になっていた。



で、部屋に戻ろうと廊下に出ると、そこに、横たわっている人がいた。



最初は、めっちゃ驚きつつも、見て見ぬふりをしようとしたけど、



何とか勇気を振り絞り、声をかけた。



すると、その相手が、まさかの俺だったという訳だ。



初めこそは、驚きやら、戸惑いやら、様々な感情が入り交じって、混乱状態に陥ったらしい。



で、せっかく、勇気を出して、話しかけてくれたのに



俺の方は、酔いが回りすぎていて、 会話は、上手くいかず、なんやかんやあって、



俺は、今、さくちゃんの部屋にいる…。



って、やばくねぇか?!



ここ、さくちゃんの部屋なの?!



乃木坂の新センターの部屋なの?!



それは、色々とまずい。



全身の血の気がスーッと引いていくのを感じる。




「あっ、ごめん。俺、すぐ、部屋、戻る。」




「あっ、ちょっ…。」



慌てて立ち上がろうとしたけど、俺は、足を滑らせてしまって、その場に転んだ。




「大丈夫…?」



慌てて、さくちゃんが駆け寄って来てくれて、声をかけてくれる。



…情けねぇ。



「まっ、まださ。酔いも冷めていないと思うからさ、もう少し、休んだ方がいいと思う…」



「でも…」



「いいから、ほらっ、座って。」


さくちゃんに、半強制的に座らされる。
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ