中編@(完結)
□そして
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間違いない、さくちゃんだ…。
目が覚め、辺りを見渡すと、そこには、さくちゃんがいた。
文字で起こしてみると、余計に訳が分からない状況だな…。
「……」
「……」
二人の間を沈黙が支配する。
…気まずい。
そんな中、俺は、この感情を持つしかない。
そりゃ、そうだ。
俺は、最後にさくちゃんと連絡を取ったきり、連絡が来ても無視していた。
そんな相手と急に二人っきりになる…
そんな出来事が起こるなんて、全く予想出来なかった。
「えーっと、何で、俺はここに…?」
なんとか、絞り出した言葉は、それだった。
「あっ、えーっと、それは…」
少し、おどおどしながらも、さくちゃんは教えてくれた。
遡ること数時間前。
翌日のライブが無くなったことで、時間的に少し余裕が出た、さくちゃんは、仲のいいメンバー達とプチ女子会をしていたらしい。
その女子会は、大いに盛り上がって、気づくと遅い時間になっていた。
で、部屋に戻ろうと廊下に出ると、そこに、横たわっている人がいた。
最初は、めっちゃ驚きつつも、見て見ぬふりをしようとしたけど、
何とか勇気を振り絞り、声をかけた。
すると、その相手が、まさかの俺だったという訳だ。
初めこそは、驚きやら、戸惑いやら、様々な感情が入り交じって、混乱状態に陥ったらしい。
で、せっかく、勇気を出して、話しかけてくれたのに
俺の方は、酔いが回りすぎていて、 会話は、上手くいかず、なんやかんやあって、
俺は、今、さくちゃんの部屋にいる…。
って、やばくねぇか?!
ここ、さくちゃんの部屋なの?!
乃木坂の新センターの部屋なの?!
それは、色々とまずい。
全身の血の気がスーッと引いていくのを感じる。
「あっ、ごめん。俺、すぐ、部屋、戻る。」
「あっ、ちょっ…。」
慌てて立ち上がろうとしたけど、俺は、足を滑らせてしまって、その場に転んだ。
「大丈夫…?」
慌てて、さくちゃんが駆け寄って来てくれて、声をかけてくれる。
…情けねぇ。
「まっ、まださ。酔いも冷めていないと思うからさ、もう少し、休んだ方がいいと思う…」
「でも…」
「いいから、ほらっ、座って。」
さくちゃんに、半強制的に座らされる。