中編@(完結)

□その日
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ガタンゴトン…ガタンゴトン




地下鉄に乗っているということで、窓の外は真っ暗。




何か、俺の心までもが暗くなってくる。




そして、




【次は〜ドーム前、ドーム前です。】




車掌さんの声が、目的地に近づいていることを知らせてくれる。




「うわ〜、いよいよだね〜。」




「せやな。」




隣に立つ丸原が、楽しそうな表情をしている。




時間が経つのは早い。




気づけば、7月14日。




乃木坂46 真夏の全国ツアー2019




in京セラドーム大阪




ライブ当日だ。




京セラドームの周りは、物凄い人だかりが出来ている。




その光景を見ると、2月のなーちゃんの卒業ライブの時を思い出す。





もう、あれから大体半年が経つのか…。




あの時に、初めて乃木坂を知って、




丸原に乃木中を見させてもらって、




今や、俺も立派な乃木オタになってもうたなぁ。





「みょうじくん、グッズ買いに行かない?」





「せやな、行こか。」




俺たちも、早速、その長蛇の列に加わる。




「どうしよっかな〜、何人くらい買おっかな〜。」




横で丸原がスマホを見ながら、頭を悩ませている。





なんか既視感…





あぁっ、あれだ。





主婦の人が、いくつかのスーパーのチラシを並べて見てる時みたいな感じや。





…まぁ、そんな事考えてる場合じゃねぇや。





俺も、何買うか考えよっと。





財布の厚さは普段と変わらないけど、





英世さんよりも諭吉さんを多めに入れた。





せっかくやし、色々、買いたいな。





そう思って、昨日、ATMで下ろしておいた。





まぁ、Tシャツ、ペンライトは確定として…





へーっ、帽子とかあるんや。





結構かっこええな。




スマホケースかぁ…。




今のやつ気に入ってるし、やめとこっと。





まぁ、こういうグッズを見るのもいいけど、1番の悩みどころは…




タオルだよなぁ。





グループ全体のタオルにするか、個別にするか。




迷いどころだ。





個別を買うなら、さくちゃんのしかないよな…。





結局、あれから、連絡を取ることはしていなかった。





いや、出来なかった。





安野さんに後悔のないようにしろって言われたのに、俺は出来なかった。






ほんと、俺は…意気地無しだ。
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