中編@(完結)
□感謝
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ザァーーー
トントントン
少し強い雨が地面を打つ音を窓越しに聞きつつ、俺は台所に立っていた。
ここ最近、課題とかバイトとか忙しかったから料理をする時間が無かった。
で、やっと、何の予定のない日が、来たのだ。
トントントン……グツグツ。
出来た〜
今日のメニューは、すき焼き風肉炒めだ。
炊いておいた、ご飯をよそい、一緒に食べる。
うん
美味い。
自分で言うのもなんやけど、絶品だ。
録画していたバラエティを見ながら、食べ進める。
いや〜、やっぱり
料理は、しっかりと時間をかけて作るもんやな〜。
最後に、ちゃんとした料理作ったんは、いつやっけな…
あっ…
そうだ。
今日みたいな雨の日。
あの子が、雨の中立ってたんだ。
あの時はびっくりしたよな…
…
俺は、立ち上がり窓際に向かい、
外を見る。
……まぁ、誰もいないよな。
雨の中、傘もささずに立つような女の子なんて特に…。
はぁ…
ため息が出てしまう。
自分から、あの子のことを断ち切ったはずなのに、
いつまで、あの子のことを思い出してしまうんや。
もはや、自分にイラついてしまう。
一時期、届いてた、あの子からの新着LINEは、しばらく見てない。
まぁ、それも俺が、あえて見てないからだけど…。
あー、俺ってサイテーだな。
自己嫌悪しか出ない。
こういう時は…
「よしっ、行けっ行けっ。」
《打球は左中間〜。一塁ランナー、安達が3塁を蹴って、ホームイン。バファローズ勝ち越しです!》
「よっしゃぁーーー。」
部屋に俺の声が響く。
《打ったT-岡田、2塁上でガッツポーズ〜。》
野球観戦するに限るな。
最近は、速報を見るくらいだったけど、やっぱり、テレビ中継を見た方が、楽しさも悔しさも倍以上だ。
その日、バファローズは見事、勝利を収め、俺は気分良く眠りについた。
自己嫌悪には蓋をして…