中編@(完結)

□決意
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「なまえっ!」




「はいっ。」




「先に、こっちの料理出してくれっ。」





「分かりました〜。」




とある日曜日。




俺と安野さんは走り回っていた。




……なんで、こんなに今日、お客さん多いんや?




誰か有名人のイベントがあるんやろか?




「店員さんっ。」




お客さんの声が、俺を現実に引き戻す。




「はいっ。」




「コーヒーのお代わり頼むわ。」





「承知致しました〜。」





まぁ、今は、そんなことを考えている暇なんてない……仕事をしないと……




……




……






「なまえくんのバカっ。もう知らないっ。」






あぁ……今は、仕事のことだけに集中しないとあかんのに……






この前のさくちゃんの言葉が脳内に響く。





…………






お客さんの入り具合も落ち着き、バックヤードに下がり、俺は地べたに座る。





はぁ……





ため息をついてしまう。





どうすればええんやろか。





あれから、電話もLINEも出来ていない。





正直、俺は、まだ、あの時、さくちゃんが怒った理由が分かっていない。





今、下手に何か言ってしまったら、火に油を注ぐことになるんじゃないかと思って、何も行動出来ていない。





「何悩んでんだ、少年っ。」




顔を上げると、安野さんが見下ろしていた。




「あぁ、安野さんも休憩っすか?」





「おう、お客さんだいぶ減ったからな。何か、またアイドルグループが来とるらしくて、そっちの方にお客さん、行ったぽいわ」





安野さんも、地べたに座る。






「で、なまえは、また何か悩んでんのか?」






「よく分かりますね。」





「まぁ、もう付き合い長なってきたからな。」




この人には、全てお見通しって感じか。





まぁ、こういう時は年長者に頼るべきか……





「自分の気持ちが分かんないですよね。」





「気持ちが?」





「はい。」






俺は、最近の出来事を話した。もちろん、結構オブラートに包んでだ。
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