中編@(完結)

□特別
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「いや〜、みょうじくん。今日は、最高だったね〜。」


「せやな。」


「矢久保ちゃんにさ〜、釣って〜って頼んだらさ〜、釣ってくれへんかってん〜。」


「丸原。」


「何〜?」


「車内では静かにな。」


「ごめん……。」


帰りの電車内、丸原のテンションはめちゃくちゃ、高かった。


てか、矢久保さんの握手会って独特やねんな。


いや、丸原相手だからなのか……?


まぁ、丸原も俺も握手会をものすごく楽しめた事は確かだ。


「……なぁ。」


「ん?」


「握手会誘ってくれて、ありがとうな。」


「えっ、あっ、うんっ。」


一応、お礼言っとかへんとな。


丸原は、少しキョトンとして、そして、戸惑いながらも嬉しそうにしていた。


……



「あ〜、疲れた〜。」


丸原と別れた俺は、家に帰って、そのままベッドに倒れこんだ。


こんなに並んだ日は、今まで、なかった気がする。


俺は、そのまま眠りについた。


…………



……リリ



…………ピリリピリリ


……うん?


スマホが鳴っている。


俺は、手を伸ばしてスマホを取って、画面をタップする。


「はい、もしもし。」


「もしもし、なまえくん?」


「……ん、さくちゃん……?」


「今日は、びっくりしたよ〜。」


電話越しの声が、心なしか明るい。


「握手会って凄いな、すげぇ楽しかったわ〜。」


「ほんと、良かった〜。」


「でも、全然喋れなくてごめんね。」


「いやいや、全然。そういや、パジャマ、可愛かったで〜。」


「もう、恥ずかしいよ〜。」


めっちゃ照れてるやん。


「てか、みんなすごいな。」


「……みんな?」


少し、さくちゃんの声の雰囲気が変わった気もしたけど話を続ける。


「いや〜、今回さ、筒井さんと早川さんとも握手したんやけどさ、2人とも握手上手くてさ。」


「…………。」


「2人とも上手く釣ってくれてさ〜。」


「…………カ」


「え?」


「なまえくんのバカッ。もう知らないっ。」


さくちゃんは一方的にそう怒鳴って、電話が切られた。


…………えっ?


どういうことや?


初めて、握手会に行った七夕。


予期せぬ形で、その日を終えた。


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