中編@(完結)

□手料理
1ページ/4ページ


サーーーー


隣の洗面所から、シャワーを使う音がする。

そのシャワーを使っているのは、今をときめく乃木坂46のメンバー……



そう、さくちゃんだ。

アイドルが自分の家の洗面所でシャワーを浴びている………。

多分、その辺の思春期の男子だったら鼻血出して、ぶっ倒れてるだろうな。

俺は、そんなことを考えつつ台所に立っていた。




今から、ほんの15分前くらい。

さくちゃんを部屋に入れようとしたんだけど

「……。」

部屋に入ろうとしない。

「あっ、入ってええで。」

「いやっ、身体濡れちゃってて部屋が濡れちゃう……」

「あっ、なるほど。」

別に、そんなん気にせんでええのに。

そう思ったけど……確かに、結構濡れとんな……。

一体、どれくらい雨の中に立ってたんやろう。

俺は、押し入れから新品のタオルを出して、玄関で立ち尽くす、さくちゃんの元に持っていく。

「いや、これ新品じゃ……」

「ええよ、ええよ。そんくらい。」

そう言いつつ、俺はタオルを袋から出して、さくちゃんの頭から掛ける。


「…………わっ。」

さくちゃんが小さくリアクションする。

「ドライヤーも使う?」

「あっ、お願いします……。」

俺は、とりあえず先に洗面所に向かう。

ドライヤーは……良かった、普段あんま使わんから新品みたいなもんや。

てか……




「さくちゃん。」

「はい?」

「お風呂沸かそうか?」

ドライヤーで乾かすより、身体温めてもらった方がええ気がしてきた。

「えっ、そこまでしてもらうのは……。」

「ええよ、そんなん。気にせんといて。」

「でも、服が……。」

あっ、そういえば、そっか。そんな重大な問題があることを忘れとった。

どうしよ……




まぁ、その問題は、とりあえず俺の服を貸すことで落ち着き、さくちゃんはお風呂に入った。

で、一方の俺は台所に立っていた。
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ