中編@(完結)

□友達......?
1ページ/4ページ


それから、時々、遠藤さんと連絡をとるようになった。

その中で、お互い話し合って、ルールを決めた。

それは、たった1つ。

俺からは電話をかけないこと。

理由は単純。

もし、俺から電話をかけて、その場に誰か居たら、とんでもない事になるからな。

このルールを提案した時、

「……でも、いつかは……」

「えっ何て?」

「あっ、いや。何もないです……。」

遠藤さんが、何か小声で言ったが、分からなかった。

話す内容は、本当に他愛もないこと。

「今日.雑誌の撮影があったんですよ〜」

「そうなんや。」

「それで……」

とか、

「ねぇ、みょうじさん。」

「どうしたん?」

「みょうじさんには、何か将来の夢とかは、あるんですか?」

「ん〜っとね……」

とか。

他愛のない話すぎて、

時に、話している相手が、アイドルであることを忘れそうになることもある。


でも、時には、アイドルらしい悩みを話してくれることもある。

「あの、みょうじさん……」

「どうしたん、なんか元気ないけど、大丈夫?」

その日の、遠藤さんの声は、いつもより、沈んでいた。

「私……番組で話すことが苦手なんですよね。」

少しの沈黙の後、そう話してくれた。

番組で話すのが苦手……

「あぁ〜、確かに。そうっぽいよね。」

「えっ!?……なんで、分かるんですか?」

電話越しの声が、少し、でかくなる。

その声から、俺の脳内で、目を見開く、遠藤さんの姿が再生される。

……可愛い

「そもそも、俺と喋るのも、最初すげぇ苦労してたからね〜。」

「あ……そうですよね。」

「あと、前、乃木坂工事中で、全然喋れてなかったし。」

「もしかして、4期生の運動能力チェックの時ですか。」

「あっ、そうそう。よく分かったね。」
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ