中編@(完結)

□夜
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「あっ、遠藤さんっ。」

ほんまにかかってきた。

俺は、少し驚いてしまう。

「本当にごめんなさい。少し、忙しくて。」

電話越しで、申し訳なさそうに謝る。

「あぁ、大丈夫っす。全然。」

そんな申し訳なさそうな声で話されてると、逆に、こっちが申し訳なくなる。

「……。」

「……。」

そして、無言が続く。

そうやんな、1度会ったきりやし、元々知り合いやった訳でもない。

「あっあのっ。」

「はい。」

遠藤さんの声に我に返る。

「あの時はすみませんでした。」

「えっ。」

突然、謝られる。

「ハンカチ、持っていっちゃってごめんなさい。」

「あぁ、なるほど。」

そうか、そういや、ハンカチ貸したままか。

「本当にごめんなさい。」

「全然大丈夫やで。そんなん。気にしんといてください。」

ハンカチ1つくらい、正直、どうってことない。

むしろ、安物のハンカチやから、こっちが申し訳ないくらいだ。

「で、お礼をさせてください……。」

「えっ?」

お礼をさせてください……って

「私、今週末に関西に行く機会があるので、その時に会いませんか?」

まじか……こんなことあんのかよ。

正直、信じらない自分が、そこにはいた。


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