長編(坂道×野球)
□第20話
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『西野っ!』
俺は、走りながら叫ぶけど前を走る西野は振り返ろうともしない。
チームアキバBチームとの練習試合の終了直後、ベンチ裏の木の傍に西野がいた。
しかし、俺達がその事に気づくと西野は逃げ出した。
その西野を追って、俺と高山が走り出した。
先に走り出した高山だけど、徐々に失速していく。
さっきの練習試合、最初から最後まで4番キャッチャーとしてフル出場。
そりゃ疲れていないわけがない。
『高山っ、俺、先行くわ。後ろから、追いかけて来てくれっ。』
高山 「はっっ、はい。」
息も絶え絶えだ。
俺は、走るスピードのギアを1つあげる。
どんどん、前を走る西野との距離が徐々に縮まっていく。
そして、
『待てって。』
何とか西野に追いついた俺は、西野を肩を掴んで止めた。
その場所は、いつもの河川敷。
『やっと、追いついたぁ、はぁ……』
西野 「……。」
とりあえず、少し距離を取りつつ、土手に座る。
『……試合、見に来てくれたんやな。』
息を整えながら、問いかける。
西野 「別に……暇やったし。」
そっぽを向きながら、答えられる。
ぶっきらぼうではあるけど、試合に見に来てくれたから、チーム乃木の事が気になっていたことは確かだ。