長編(坂道×野球)

□第20話
1ページ/9ページ



『西野っ!』


俺は、走りながら叫ぶけど前を走る西野は振り返ろうともしない。


チームアキバBチームとの練習試合の終了直後、ベンチ裏の木の傍に西野がいた。


しかし、俺達がその事に気づくと西野は逃げ出した。


その西野を追って、俺と高山が走り出した。


先に走り出した高山だけど、徐々に失速していく。


さっきの練習試合、最初から最後まで4番キャッチャーとしてフル出場。


そりゃ疲れていないわけがない。


『高山っ、俺、先行くわ。後ろから、追いかけて来てくれっ。』


高山 「はっっ、はい。」


息も絶え絶えだ。


俺は、走るスピードのギアを1つあげる。


どんどん、前を走る西野との距離が徐々に縮まっていく。


そして、


『待てって。』


何とか西野に追いついた俺は、西野を肩を掴んで止めた。


その場所は、いつもの河川敷。


『やっと、追いついたぁ、はぁ……』


西野 「……。」


とりあえず、少し距離を取りつつ、土手に座る。


『……試合、見に来てくれたんやな。』


息を整えながら、問いかける。


西野 「別に……暇やったし。」


そっぽを向きながら、答えられる。


ぶっきらぼうではあるけど、試合に見に来てくれたから、チーム乃木の事が気になっていたことは確かだ。
次へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ