長編(坂道×野球)
□第16話
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タッタッタッ
練習試合当日。
今日も、俺は河原を走っていた。
最近のルーティンとなっているランニングを今日だけしないというのは、なんだか気が引けた。
ふぅ。
一息ついて、左手に付けた時計のストップウォッチを止める。
一応、タイムは縮んではいるか……
河原を少し歩いて息を整える。
監督が選手より体力がないというのは、避けたいからな。
最近、練習メニューを増やしたというのもあって、選手のレベルも上がったように感じる。
でも……昨日、改めてチームアキバのデータを見て、思い知った。
選手のレベルが高すぎる。
昨年のシーズン、全勝で終わったのも納得がいった。
そして、そのチームアキバに勝つには……。
「おはよう。」
「…………おはようございます。」
やっぱり、君の力が必要なんだ。
「今日も精が出るね、西野さん。」
「……どうも。」
ぶっきらぼうに返事を返される。
恐らくだけど、俺に対して好印象は持たれてはいないだろう。
でも、毎朝、ここに居てくれてるということは、まだ、希望があるんだと思う。
「なぁ、チーム乃木に戻ってくる気はないん?」
「何回も言ってるやろ、うちは戻らんよ。」