長編(坂道×野球)

□第10話
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「カンパーイ」

俺の横で、真夏さんがグラスをあげる。

「「……」」

その姿を、俺は呆然と、花奈さんは、冷めた目で見つめる。

「いや、2人ともグラスを上げてよっ!」

俺と花奈さんの態度が不満だったのか、
真夏さんが、わりと大声を出す。

「いや、急に乾杯とか言われても困惑するだけでしょ。」

花奈さんが冷静にツッコミを入れる。

真夏さんは、たまに突拍子もないことを言い出したりするから、花奈さんかみり愛さんが、いれば助かるなぁ〜。

そんなことを考えつつ、俺はグラスに注がれたお酒を飲む。

あっ、俺だけだよ。もちろん。

GBLに所属している選手は、全員、お酒とタバコは禁止らしい。

「でも、ほんと良かったよ〜。
良太君が、あの場面で、ちまとの勝負に勝ってくれて〜。」

真夏さんが、笑顔で話す。

「それは、本当にそうね。」

花奈さんも、一緒に頷く。

そう、昼間。
樋口さんとの対決で、俺が打った打球は、
グラウンドの奥の柵に直撃した。

そう、ホームランだったのだ。

「あんなん、たまたまやで。」

とか言って、俺は済ました顔をしてるけど、
正直、あの時はめちゃくちゃ驚いた。

まさか、実践で野球をするなんて、かなり久しぶりだったのに、ホームランを打てるなんて思っていなかった。
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