長編(坂道×野球)

□第9話
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「実は……私、まだ本条さんのこと、監督として認めてないんですけど。」

朝、やる気マックスでグラウンドに向かった俺に、若月さんが、駆け寄って、
そう言った。

「あのっ……それは私も…」
「私も……」

いつの間にか、後ろに並んでいた選手達の中から、2人が出てきた。

樋口さんと寺田さんか……

「ちょっと、若っ。何言ってんのっ。」

真夏さんが、慌ててグラウンドに飛び出してきた。

「「「………………」」」

グラウンドに、重い空気が漂う。

「いや、真夏。あんた達、マネージャーはさ、新しい監督が来ることを知ってたのかもしれないよ。
でも、私達、選手は、新しい監督が来ることも、何も知らなかったんだよっ。」

若月さんが、静かに話す。

「それは……あんなことがあったから……」

真夏さんの口調が弱くなる。

「それでさっ、いきなり、知らない人が来て、今日から監督ですって言われてもさっ。」

「でも、監督がいなかったら、リーグに参加できないよ……」

「それは、そうだよ。でも、私が気に食わないのは、私達に何も知らせずに、勝手に新しい監督を連れてきたこと。
そもそも、本条さん、あなたは何者なんですか?」
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