中編A

□第3話
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めんどくさいから帰宅部にしとこ〜




2年前に、そう考えた俺に今なら言える。




何か部活はしとけよ、と。




去年から、帰宅部だからという理由で今井先生に色々と雑用を押し付けられるのだ。




まぁ、基本、あの人はいい人だから、別に恨むことはないんだけど…



『えーっと、どっか行きたいところとかある?』




とりあえず、廊下に出た俺は、隣に立つ、山下さんに聞いてみる。




山下「う〜ん、そこは、厳島くんのチョイスに任せようかな〜。」





うわっ、何、その難しい答え。





しかも、なんか笑ってるし…




これ、絶対、こっちが困るって分かりながら言っただろ。





祐希「ちょっと待った〜」





と思ったら、どこからともなく祐希が飛んできた。




『どしたん、祐希?』




祐希「うちも一緒に案内する〜。」




そして、何故か俺の腕を掴みながら、言ってきた。




『いや、何で?』





祐希「だって、権之助だけやったら、山下さんに迷惑かけそうやもん〜。」





…俺、そんな頼りないのか?





『案内くらい一人で出来るわ。』




祐希「もう、強がらんと〜。権之助には、うちが必要やろ〜」





山下「与田…さんだよね。厳島くんと仲良いんだね。」





山下さんが口を挟んでくる。





『まぁ、幼なじみやしな。』





祐希「うちが、祐希の面倒見てあげてるんだよ〜。だから、私は、実質、権之助のお姉…」




史緒里「はいっ、お姉さんなら、掃除をサボっちゃダメだよ〜。」





くぼしーが箒とちりとりを手に祐希の後ろに立っていた。




祐希「えっ、今日、うち当番やっけ?」





史緒里「そうだよ〜、今日は、私と祐希っ。ほらっ、箒持って。」





祐希「えぇ〜。」





史緒里「ほらっ、文句言わないっ。」





文句を言う祐希を、くぼしーが教室に連れていった。




『じゃあ、とりあえず…って、山下さん?』




山下「………スン」





振り返ると、山下さんは先に歩き出していた。





『どしたん?』





ちょっと、小走りで近づいて声をかける。





山下「別に〜。」





そう言う山下さんだけど、何故か、さっきより、機嫌が悪いように見えた。





なんでやろか…?
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