中編@(完結)

□手料理
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それから、豚汁を食べ終わり一息つき、

「ねぇ、さくちゃん。」

「…………フン?」

「何で、あんな所に立ってたん?」

首を傾げるさくちゃんに、俺は、ずっと気になっていたことを聞く。

「…………。」

すると、さくちゃんは黙ってしまった。

もしかしたら、軽々しく聞いたらあかんかったんかな……

「あっ、別に無理して話さんでええで。」

思わず不安になってしまい、そんなことを言ってしまう。

「……。」

「……。」

あぁ……互いに無言になってもた。

「……。」

「……。」

「……。」

「……。」

体育座りで、自らの膝に顔を埋めるさくちゃん。

表情も見えないから、簡単には声をかけられなくなってしまった。

ていうか、お互いが黙ってしまって少し
気まずいこの状況。

「……なんか懐かしいな。」

俺は立ち上がって、さくちゃんに背を向けて話す。

「……え?」

後ろから、さくちゃんが返事する声が聞こえる。

「初めて、さくちゃんが俺に電話した時みたいやない?お互い、黙りこんじゃってさ。」

そっか、あれからもう3ヶ月くらい経つねんな。

てか、たった3ヶ月とも取れるか。

一時期は、毎日連絡取ってたし……







ってあれ?

今更やけど、さくちゃんってアイドルだよな。

何で、俺と毎日連絡取ってたんやろか。

俺の頭の中で、疑問が駆け巡る。

「……そうだね。」

「えっ?」

「私も初めて、なまえ君と電話した時の事、思い出しちゃった。」

後ろを振り返ると、さくちゃんが顔に涙の跡を残しながらも笑っていた。

あぁ、守りたい、この笑顔……。

その笑顔に釣られて、俺も笑ってしまう。

そんな疑問な、今はええや。

俺は、そう思いなおし、

「やろっ。思い出すやんな。」

会話を続けた。

「うん、あの時は緊張しちゃって……」

そこから少し他愛のない話で盛り上がった。

さくちゃんも笑顔が増えてきたし、良かった。

そして、

「ねぇ、なまえくん。」

「ん?」

「実はね……。」

さくちゃんが少し下を向きつつ、話し出した。

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