喋らない魔女の林檎
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「ごめん、その前に、ちょっとトイレ行ってもいい?」
「うん」
真っ赤過ぎるゆいりんごになってるけど、大丈夫かな。
ベッドに座って、ゆうちゃんが来るのを待った。
「なぁちゃん、ごめん………」
長い時間トイレに籠っていたゆうちゃんがやっと出てきた。さっきまでの表情とは明らかに違う。
「ゆうちゃん大丈夫?生理ですか?」
「ううん。そうじゃないんだけど……」
「体調悪そうですけど」
「ごめん、今日は帰る」
「えっ、大丈夫ですか?送って行きます」
「いやっ、ホントに大丈夫」
「真っ直ぐ歩けてないじゃ無いですか!泊まって行って下さい。1人でベッドに寝てくれたらいいですから」
ふらふらとよろめきながら玄関に向かっていたゆうちゃんを必死に止めた。
「大丈夫、大丈夫……」
「お腹痛いんですか?体がだるいんですか?」
「……」
「汗、凄いですけど、熱は?」
「あっ、ごめん触らないで」
手をゆうちゃんのおでこに当てたら、跳ね退けれてしまった。
「ごめん、ホントになぁちゃんは悪くないの」
「うん。私は大丈夫です。ゆうちゃん、メイクだけ落として、もう寝て下さい」
「うん……」
ゆうちゃんを説得してから、私もお風呂へ入ろうと思って、脱衣場へ行った。ゆうちゃんホントに大丈夫かな。明日もまだあんな感じだったら、病院に、行ってもらわないと……。
着替えのパジャマを持ってくるのを忘れたので取りに行くと、ゆうちゃんがおとなしくメイクを落としていた。
「な、な、なぁちゃん!なんで下着しか着てないの!」
「パジャマ忘れたから取りに来たんです」
「そんな、えっちぃの……」
ゆうちゃんどうしたんだろ。体調悪いのに何考えてるのかな。
「そんな事より、ゆうちゃん早く寝てください」
ゆうちゃんがこっちを見たまま全く動かない。
「ゆうちゃん、ホントに大丈夫なんですか?今から病院に行きましょう」
ゆうちゃんの隣に行って、背中をさすった。
「ぅ、、」
「どうしたんですか!?やっぱりお腹痛いんですか?」
真っ赤な顔で汗をダラダラたらしながら苦しそうに下腹部を押さえていた。やっぱりお腹痛いのかな。生理前とか。
「なぁちゃん!!!」
「ご、ごめん」
大きな声に驚いて反射的に謝ってしまった。
「違うの……なぁちゃん。。。なぁちゃん、だから信用して言うね」
「う、うん」
「あ、あー、でもやっぱり……」
「なんですか?」
「うーん」
「早く言って下さいよ」
「体が男になってるの」
???
「今日って4月1日でしたっけ?早く寝てください。明日になったら戻ってますから」
「いや、ほんとに、、」
本当に真実を話してるかのように必死な目で私に訴えかけていた。
「ゆうちゃん、今から病院行きましょう。熱で幻覚を見てるんですよ」
「いや!だから!」
私の手を捕まれて、ゆうちゃんの押さえていた所に持っていかれた。確かに異物があった。
「なんですか?これ?」
「だから、その」
なるほど。どっきりカメラか。だから、私が下着姿だと都合が悪いんだ。
こんなイタズラ度が過ぎてる。私の自宅にカメラを仕掛けるなんて、ゆうちゃんも騙してたってこと?ひどい!
怒った私は、ゆいりんごのゆいりんごを掴んだ。掴んだ手は空振りをした。まるで、ふざけて ゆうちゃんのブラジャーを私がした時みたいに、虚しくブラジャーの布と空気だけの感触が私の手のひらを通りすぎた。
「えっ、、、」
ゆうちゃんの目を見た。ゆうちゃんの目は既に私の目を見ていた。
「どうしよう?」
「とりあえず、1回脱いで下さい」
「え、でも…」
「恥ずかしがってる場合じゃないですよ!」
「それは、分かってるけど」
「はやく!」
ゆうちゃんは、オドオドしながらも、ゆっくりと洋服を脱ぎ出した。
確かにゆいりんごのゆいりんごは無くなっていた。