マスクファミリー
□第8話
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「ちょっと、僕、こういうお店はちょっと苦手で…」
「いいじゃん。健全なお店だって」
ゆりあがあんまり煩いから、店に顔を出す。
歓楽街にあるキャバレー
club aquarium
店に来るのは久しぶりだ。
「もう。やっと来てくれたー。こちらの方は?お友達?」
「うん。まぁそんなとこ。綺麗な顔してるでしょ?こういうお店慣れてないみたいだから、可愛がってあげてよ」
「あら、そうなの?かわいい。お酒飲めるでしょ?岡田くん強くないから、売上が上がらないのよ」
そう言いながら、ほんの気持ちばかりの水が入ったウイスキーの水割りを作りだす。
そんなもの客が飲まなくても、勝手にボトルを開けて伝票に付ければ良いだろう。
「あー。おいしいなあ」
そう言いながらニヤニヤと女の胸元を見ている。こういう店は苦手なんて嘘だな。結構楽しんでるみたいで良かった。
「じゃあー。10回クイズやりまーす!夢莉くん、いっぱいって10回言って下さい」
「おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!…!…!」
「ちょっ、なんでよ。いっぱいって言ってって言ってんじゃん。超おもしろい」
ほとんどロックのウイスキーの水割りが効いてきてるみたいだ。
夢莉くんは、ヘラヘラと笑いながら、ゆりあの胸元に顔を擦り付けた。
「コラコラ!ここはそういうお店じゃないから!お触り禁止!怖いお兄さんでてくるよ!」
女の子が、困ってるのは嫌いだから俺が引き離す。
「そうだよ。私は岡田くんのものだから。お客でも誰でも触っちゃダメなんだよ?」
「えー。そうなんですかー。うらやましい」
「ごめん、コイツもう潰れそうだから連れて帰るわ」
「えー。もう帰るの?また会いに来てね?約束だよ?もう、岡田くんじゃなきゃ満足出来ないんだから」
その後、顔を近づけられ小声で囁かれた。
「私のこと送ってくれると思ってたのに。ばか。」
緩く握った拳で左肩を殴られた。