何回くりかえしても、Nがネガティブな卒業に追い込まれる件
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〈なぁちゃん、ごめんなさい〉
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もしもあの時、ああしていたらとか、こうしていたらとか、人生はそんな後悔の繰り返しだ。
なぁちゃんは、私の親友で、相棒で、家族で……。
そんなありふれた言葉を今さらいくつも並べても、彼女は誰かの恋人になってどこかに消えて行く。
私たちの出会いは、お互いが女性アイドルグループのメンバーになったこと。
もう何年も一緒に活動して、生活して、人生を生きて、良いとこも嫌なとこも全部、何でも分かりあえるようになって、貴女が私に対してを特別な感情を持っていることも知っていた。
一緒にベッドに入り、じゃれて抱きつかれる。それは無邪気なふりをした、恋愛の駆け引きだということにも気がついていた。
私の首に顔を埋めて、貴方は眠る。
それを愛おしく思う自分がいることにも気がついていた。
恋愛には様々な形がある。人の数だけセクシャリティーがあるといってもいいだろう。
貴方は同性も好きだと世間に公表した。それは私に対する気持ちの暴走の理由になっていく。
ベッドの中でのスキンシップが激しくなっていく。熱くなる心と体。私は何度も受け入れた。
そういう時間だけは、他の嫌なことなんて全部忘れることができるでしょう?
時が過ぎて、同世代の人たちの結婚、出産を目の当たりにする。
なぁちゃんはよく「子どもが欲しい」と口にした。
知り合いの赤ちゃんを愛しそうに見つめたり、後輩を私が産んだと言って溺愛したりした。
その溢れる母性本能、愛情は、私が満たしてあげることのできない欲求だった。
アイドルの寿命も視野に入れるようになる頃、私は貴女に別れを告げた。
「他に好きな人が出来たよ、その人と付き合うの」と。
戸惑いを隠せない貴女は、震えた声で
「おめでとう」と言った。
一方的な突き放しに、貴女は私の幸せを願って「おめでとう」と言った。それは真実の愛の言葉だった。
でもそれから、貴女は崩れるように落ちていった。
明らかな精神崩壊。それに加えた異常なまでのハードスケジュール。
更に細くなる体。増える薬の量。眠いのに眠れない、眠る時間もない。弱り続ける姿を目の当たりにした。
私も不安な日々だった。突き放してしまったから、芯から貴女を支えることはできない。
そんな中で、久しぶりに明るい笑顔を見た。
「私ね、好きな人ができたの」
「おめでとう」と、しか言えなかった。
その人の話をしている間は、暗い気持ちが無くなったみたいに、楽しそうだったから。
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