ほのう

□九
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慌てて出てきた私は、ノーメイクだった。とりあえずマスクをして、食料品でも買いに行くことにした。今日は、奮発して、成城石井に行く。そういえば、課長が成城石井でセクハラしたとかなんか言ってたけど、あれは何だったんだろう。

缶詰の食品表示を見ていた目線を上げると、少し離れた所に、いそろくさんに似た人を見つけた。
イケメンセンサーがビンビン反応したので、近くでイケメンレベルを確かめないといけない。
それは、女の使命。
怪しくないように買い物をしている素振りをしながら、じわじわと距離を詰める。



いそろくさんじゃん!!



やっぱり東京に戻って来てるのか。岡田さんの家から、出て来ておいて良かった。お茶漬けを出されても帰らない、あつかましい女と思われるところだった。

いそろくさんは、スラックスのポケットからスマホを取り出して、通話を始めた。


五「さっき、東京ついて、今スーパーなんだけど、何か買ってくものある?」


いいなぁ。いそろくさんが料理作ってくれるって言ってたもんな。どんな料理作るんだろう。


五「お前の大好きなトマトも買ってくよ」



"お前の大好きなトマト"



酔っぱらって眠ってしまう前の記憶がよみがえる。








ーーー



ーーー







岡な「岩村さん!トマトサラダ、こんなにたくさん注文してたんですか??」

岩村「え?美味しいじゃん」

岡な「私、トマト苦手なんですよ。いつも言ってるじゃないですか」

岩村「え?そうなの?村山さん食べるでしょ?」

「ごめんなさい、私も苦手で」

岩村「そっか。じゃあ俺が責任もって食べるぞぉ」




ーーーー




岡田ななさんは、トマトが苦手なはず。お前の大好きなトマトって誰に買っていくんだろう。兄弟とか?違う。いそろくさんは、ひとりっ子って言ってたし。
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