ワンスモアユーオープン
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次の日。つまらない会社勤めを終わらせた私を、家で姉が待ち構えていた。
「ちょっと!なんでパパが入院したって教えてくんなかったの??」
「だってお母様が彩奈に言うなって……」
「なんでよ!?家族なのに!」
「それに、お父様なんともなかったんだし」
「もし大変なことになってたらどうすんのよ!親の死に目に会えないとこじゃん」
「いや、だから……。。ってかさ。帰んなくてもいいの?」
「あ、今日は泊まってくからね。やっぱ実家最高だわ」
「なんで?旦那さんは?」
「出張行っていないのよ」
「へー。出張かぁ、、出張、、寂しいね」
「は?別に、寂しくなんてありませんけど??ってか、いつも旦那に興味ないのに、なんで今日そんなこと言ってくんの?」
「いや、、、」
「なんか、怪しい……。。。ゆいり、あんた、彼氏出来たでしょ??」
「そそ、そんな訳、、」
「絶対!怪しい!前は旦那いなくてラッキーじゃんとか言ってたじゃん!」
「そんなこと、言ったかなぁぁ??」
「ねえ?!誰?!誰?!写真見せて!」
「写真なんてないよ」
「写真ないってことはやっぱり!いるんじゃん!!」
「いや、いるとか、彼氏とかそういうんじゃなくて……」
「なに?なに?片思いなの?ねえ??」
いつもこうだ。姉の彩奈は私と違って頭も良くてお喋りも上手で、結局全部話さないといけなくなってしまう。
「いや、その、片思いとかそんなんじゃなくて、そのちょっと、気になってるだけっていうか……」
「へーー。それで?それで?」
「いや、だから、それだけ」
「それだけって何?気になってるってこと?で、どんな人なの?」
「いや、その、運転手の……」
「運転手?そんな良さげな人いたっけ??」
「新しい人が来たみたい」
「へー。若い人?」
「同い年だって」
「いいじゃん。いいじゃん」
「いい?反対されるかと思ったけど」
「なんで?」
「だって、運転手だなんて……」
「そんなの、関係ないじゃん。てかさ、どんなのなの?写真見せてよ」
「だから、写真なんて無いんだって!…………っあ!」
「ん?どした?」
そうだ。昨日のインターホンの映像が残っているはず。
私は姉と一緒にその映像を見た。
〜〜〜〜〜〜
「鞄、お忘れです!」
〜〜〜〜〜〜
また胸がキュンと締め付けられ、鼓動が早くなる。
「こんなん彼女いるに決まってんじゃん!ゆいりのイケメン好きにはあきれてものもいえないわ」