ほのう
□六
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岡な「お風呂入れそうですか?やめときますか?」
私の手を握り、顔を近づけられて、目を見て聞かれた。
キレイだ。かわいい。そうか、こういう風にして、こうやって、ちょっと酔っぱらってる時に手を握って、顔を近づけて話すと、男は落ちるのか。
岡な「どうします?」
「お風呂、借りてもいいの?」
岡な「いいですよ?でも、村山さん、酔っぱらってるから心配ですね」
「大丈夫。大丈夫」
岡な「いや、心配なんで、私も一緒に入ります」
「ちょ、ちょ、なんで。恥ずかしいよ」
そうか、そういう風にして、いそろくさんにもお風呂入りましょうとか言って、落としたんだな。なんて、ハレンチな。
「何が恥ずかしいんですか?女同士じゃないですか」
なんとか振り切って1人で入らせて貰ったけど、男にあれをやったとしたら、ひとたまりもないよ。やばいよ、あれは。
「もう、出たんですか?ゆっくりしてくれたら良かったのに」
岡田ななさんは、パジャマと、新しい下着まで準備をしてくてれいた。用意周到。やっぱりこれくらいスマートに出来ないと良い男と結婚なんて無理なのか。
「あ、ありがとう」
「いま、下着洗濯してるんで、明日までには乾くとおもいますよ」
「すいません。色々と…」
岡な「お安いご用ですよ」
「気になってたんだけど、どうして、です。ます。で話すの?同い年でしょ?」
「えっ?村山さんの方が先輩だからですよ?」
「そうなの?」
「はい。多分、村山さんの方が1年先輩です。会社入ったの」
知らなかった。大学留年とか、就職浪人とかなのかな。こういうことはデリケートな気がして、深く聞けない。
「シャンプーすごく良いやつだね。いそろくさんもこれ使ってるの?」
「はい。五十六さんは何でも良いらしいです。男らしいですよね」
めちゃめちゃ女の子の匂いするけど、いそろくさん、こんな匂いを撒き散らしてるの?今、私も同じ匂い…。
ダメダメダメ!なんか考えてることが変態みたいじゃん。ちゃんとしなきゃ。よりにもよって奥さんの前だよ。