ほのう
□二
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岩村「茂木って、社内アンケートで、戦場に連れていくならランキング1位だったあの茂木?俺、殺されちゃうの?」
「茂木さん、なんて言ってたんですか?」
課長「早口で聞こえなかったんだよ。村山を出せって、1億円横領がなんとかって」
岩村「1億円!?」
課長「1億円なんて関係ないでしょ?」
「知りません。何の事ですか!?」
コンコン!
岩村「ヒイィ、」
全員の身体が硬直して何かに怯えた。茂木さんは悪い人じゃ無いと知っている私でさえも、場の空気に流されて緊張が走る。
「すいませーん。ななです。開けてください」
「ななちゃんか」
「課長、変わりに、ななちゃんを差し出しましょうよ」
「そんな事が出来るか!わしの大事な部下だぞ!」
課長は立ち上がって、鍵を開けにドアへ向かった。ピンチの時こそ人間の本性が現れる。年老いて見えていたはずの課長が頼もしく思えた。
「ななちゃんの後ろに茂木っぽい人がいた、、」
課長は、鍵を開けずに帰って来た。
「残念だが、ななちゃんは諦めよう、、、」
ゴン!ゴン!
力強い音がドアを揺する。
茂木「開けてください!緊急なんです!」
ガチャ!ガチャ!
茂木「どうして鍵閉めてるんですか!!」
ゴン!ゴン!
ドン!!!
ガッチャーーー!!!
茂木「ふうっ、」
茂木さんがドアを蹴破って中に入ってきた。大きな音と驚きで全員の言葉が奪われた。
茂木「ゆいりちゃん!」