ピカピカの1年生

□12
1ページ/1ページ



「こんにちは」

お店のドアを開くとカランカランと鈴の音が心地よく響いた。

「いらっしゃいませ。岡田さん、いらして下さったんですね」

「お招き頂いてありがとうございます。こちらは、お付き合いしている彩希さんです。彼女はIMO.IMO.MAXの大ファンで今日を楽しみにしていたので、どうぞよろしくお願い……」

ん?今、お付き合いって???どういう意味で??

「ね?彩希さん?イモンブランベーゼがお好きなんですよね?」

「え?はい!!1度食べたらもう忘れられない美味しさで……」

「こちらは、オーナーの芋満さんです」

「はじめて。よろしくお願いします」

窓際の見張らしの良い席に案内され、メニューに目を通す。

「すごい!イモンブランベーゼ、イモンブランラルム、イモンブランアンジュもある!!」

「ははは。楽しそうですね」

「だって!全イモラーの聖地なんだよ?」

メニューから一瞬目を離して、向かい合わせに座る岡田くんを見ると、笑っていた。
はじめて見るその表情にびっくりして、ドキッと驚く。反射的にメニューに視線を戻した。

彩奈が岡田くんは人の心無いとか言ってたけど、やっぱりそんな人なんていない。岡田くんは人の心がある。

彩奈は結局、黄色の帽子のおじさんと五ツ星のレストランには行かなかった。「どこに行くかより、誰と行くかが大切」なんて、がらにもないこと言ってたけど、それって、今、私が楽しいのと何か関係あったりする?

今、私が楽しいのは、イモイモマックス2号店にきて、もうすぐイモンブランベーゼを食べられるとウキウキしているから?

「お待たせ致しました」

「わぁぁぁ」

「あと、こちらはオーナーからイモンマカロンのサービスでございます」

「それは、ありがとうございます」

「すごい!めっちゃかわいい!!美味しそう!」

「ね。とてもかわいい、ですね」

あれ?岡田くんってこんなにハンサムだったっけ?
ゲレンデマジック的な、イモイモマジック??

目の前のイモンブランベーゼに興奮して、わけがわからなくなってる。
恋の吊り橋効果?みたいなやつ?岡田くんといるからドキドキしているわけじゃないのに、おかしな気分。

でも、これってもしかして、これから会社で岡田くんを見るたびにイモイモマックスを思い出してしまって、ウキウキしてしまう自分がいるの?

嘘でしょ?岡田くんには婚約寸前の彼女がいるのに?
彼女?ってなに?私は岡田くんの彼女になろうとして……。


次の章へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ